長崎県内インバウンド事情 目立つ日帰り 消費も低調

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 長崎県はインバウンド(訪日外国人客)の宿泊者があまり増えておらず、消費単価も全国平均を下回っていることが、日銀長崎支店の分析で分かった。中国発着のクルーズ船による日帰り客が増え、低所得者層の割合が高いのが要因。同支店は、九州他県との回遊性を確保し、中国にこだわらず富裕層を誘致するよう提言している。

 長崎県の港や空港から入国した外国人数(2018年)は134万人。九州(沖縄含む。以下同じ)では福岡359万人、沖縄287万人に続く3位だ。これまでクルーズ船が増加傾向を支えてきたが、最近は伸び率が鈍化。空路による入国数はもともと便数が少なく、九州最下位にとどまっている。
 一方、他県を経由し来県した外国人数(17年)は29万人。本土最西端という地理的制約もあって陸路での誘客は伸び悩んでいる。このうち半数は福岡を経て長崎県入りした。九州では福岡-大分間の往来が60万人前後と目立った。
 長崎県は、韓国から高速船で対馬市へ、中国からクルーズ船で長崎市や佐世保市へ訪れるケースが圧倒的に多い。九州他県は、台湾や香港からも一定受け入れている。こうした状況が長崎県の宿泊数、消費単価の低迷につながっている。
 長崎県の延べ宿泊者数(18年)は69万人で5年前より63%増えた。しかし九州他県は6.7倍~2.3倍に伸ばし、3位だった長崎県は▽沖縄525万人▽福岡316万人▽大分133万人▽熊本98万人▽鹿児島79万人-に続く6位に後退した=図(1)。クルーズ船は日帰り客が中心とあって、長崎県の伸び率は全国ワースト2位だった。
 観光・レジャーを目的とした外国人客の旅行1回当たりの消費単価(18年)は、沖縄、福岡、鹿児島が全国平均を上回り、長崎県は34位と同平均を下回った。滞在日数が短く、県内周遊者も少ないのが要因とみられる。対照的に高知、鹿児島、徳島はここ数年で単価が高まっており、香港からの訪問が増えたという共通の特徴がある。
 世帯収入別で見ると、長崎県は低所得者の割合が高く、その傾向は年々顕著になっている=図(2)。これは団体旅行だけでなく、個人旅行にも当てはまるようだ。
 クルーズ船寄港ブームも一服する中、日銀長崎支店は、こうしたデータや課題を地域全体で再確認し共有する必要性を訴える。訪日客の宿泊や消費を増やす具体策として、誘致するターゲットの見直し、交通アクセスの改善、夜間観光や飲食の充実、高級ホテルの誘致を挙げる。
 平家達史支店長は「長崎県は自然や食材が豊富で、見応えのある伝統行事やストーリー性の強い歴史文化など活用できる観光資源は多い。いかにハード、ソフト両面における『仕掛け』を整理・整備し訴求力を高めるかが重要」としている。