海を背に心癒やす旋律 がん経験女性ら8曲堪能 東京のバイオリン奏者 大迫さん

有明海を眼前に、大迫さん(右)の演奏に聞き入る土谷さん(左手前)ら=島原市三会町

 JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」の車内音楽の演出や演奏をしていたバイオリン奏者、大迫淳英さん(45)が15日夕、島原市三会町の海岸で、がんを経験した近くの無職、土谷雅世さん(77)のための演奏会を開き、約20人が美しい音色を堪能した。
 5年前に乳がんの手術をした土谷さん。大迫さんのCDで癒やされたという体験を基に退院後は、市内でコンサートを企画している。演奏会は、共通の友人を介して数年前に知りあった大迫さんに思いを伝えたところ実現した。
 会場は、土谷さんが好きだという童謡「浜千鳥」のイメージにぴったりという海岸。「川の流れのように」「恋の町札幌」など8曲を披露した。有明海をバックに、時に重厚に、穏やかにと自在に変化する旋律が、海岸に居合わせた人らを包み込んだ。
 大迫さんは、東京を拠点に旅と音楽をテーマに活躍する「音旅演出家」として活動。キリシタン信仰や迫害の歴史など五島列島をイメージした組曲「祈りの島」や、長崎電気軌道(長崎市)の路面電車「みなと」のテーマ曲の作曲するなど、本県とも縁が深い。
 土谷さんは「病気で気持ちが落ち込んでいる人にとって、音楽はどんな薬より効果がある」と感激の面持ち。大迫さんは「聞いてもらうことで心のよりどころにしてほしい」と話した。

◎7月にも演奏会
 大迫さんは7月30日午後3時、島原市下川尻町の県島原病院で、チェロ、ピアノ両奏者とともに演奏会を開催予定。無料。問い合わせは同病院(電0957.63.1145)。

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