金曜日に行われたJ1第12節、浦和レッズ対湘南ベルマーレ戦で起きた誤審問題。
湘南DF杉岡大暉のシュートはゴールを割ったものの、山本雄大主審を含めた審判団はそれを認めず。
もし湘南が劇的な逆転勝利を遂げていなければ、より大きな問題になっていたかもしれない。
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ここでは、選手の申告により審判が判定を覆した4つのレアケースを振り返ってみる。
ドイツ5部、ボホルテル対バウムベルク戦
ボックス内でボホルテルのアントニオ・ムニョスが倒されると、主審はPKを宣告。この判定にバウムベルクの選手たちが猛抗議!
すると、倒されたムニョスが主審のもとに歩み寄り、ファウルは無かったと告白。なんとPKは取り消されることになり、バウムベルクの選手たちもその振る舞いを賞賛していた。
ボホルテルは2点をリードされており、なんとしてでも得点が欲しかったはず。結局チームは1-3で試合に敗れることになったのだが、ムニョスはこう述べていた。
「決定的な(シーン)だった。もし僕らが1-2にしていれば、試合は完全に違っていただろう。
でもフェアにすることにしたんだ」
なお、この試合は3人の退場者(ボホルテル2人、バウムベルク1人)も出ている。
ブンデスリーガ、ニュルンベルク対ブレーメン
2つのフェアプレーが世界的に話題になった試合。
ひとつ目は前半17分の場面。突破を仕掛けた清武弘嗣(当時ニュルンベルク)が相手DFセバスティアン・プレドルと交錯してボールはラインを割った。
マヌエル・グレーフ主審はコーナーキックとジャッジしたが、なんと清武は自らそれを“放棄”。主審はそれを受けて判定を覆してゴールキックを告げた。
もう一つは74分のシーン。ブレーメンMFアーロン・ハントがペナルティエリアで相手DFハビエル・ピノラと接触。主審はPKを指示するもハント自身がそうではないと申告して判定は覆ることに。
アーロン・ハント
「本能的にペナルティキックを奪いに行ってしまった。しかしそれは間違った行為だった。
自分と戦って、言うことに決めた。
どんな試合にもこんな形では勝ちたくない。もしそれが降格を賭けた戦いであってもね」
ロビン・ドゥット(ブレーメン監督)
「コーチとして尊敬できる行為だ。
このような重要な試合でもスポーツマンとして振る舞える選手を育てなければいけないね」
UEFA欧州女子選手権、イングランド対スペイン戦
イングランドが1点をリードしていた場面で、カリーナ・ヴィトゥラーノ主審はスペイン側にPKを与える。
イングランド代表FWエレン・ホワイトのハンドを取ったのだが、PKのジャッジはすぐに取り消しに。イングランド側は意図的ではなかったと抗議。DFルーシー・ブロンズの説得によって審判は心変わりしたという。
ルーシー・ブロンズ(イングランド女子代表DF)
「大会前、UEFAはレフェリーとミーティングを行った。そこでは、もしディフレクションで当たった場合は、それはハンドではないとされた。
(PKのジャッジが下った際)私は目の前で見ていた。『これはPKじゃない』って感じだった。彼女の足に当たった後、それが跳ね上がって腕に当たった。
ディフレクションだった。(主審は)『あなたが正しい。私のミス』と言ったわ。
彼女がああしてくれたのはフェアプレーだった。これほど大きなゲームと大きなジャッジにおいて、(判定を取り消す)勇気を持っている審判はそれほど多くないと思う。
スペインの選手たちはちょっとガッカリしていたし、イラついていたように思う。でも見直してもらえれば、彼女たちにも完全に偶然のハンドだったと分かるはず。
(ルール的に?)グレーソーンが多い。なので(今回のミーティングに)かなり注意を払っていた。
私は自分の(ルール?)ブックを持っていて、プレーした時に何がイエローで何がレッドなのかを正確に把握できるようにしていた。
この大会では(これまでとは)いくらか異なるルールがある。なので、ディフェンダーとしては、そういうことに敏感になっている必要がある」
つまり選手側から新ルールについて説法があり、その結果主審は自らのジャッジを撤回したというわけ。
選手のほうがルールに詳しかったとも言えそうだが、『BBC』では主審の判断について「勇気ある決断」とも伝えていた。
なお、試合はイングランドが2-0で勝利している。