菊池川流域「今昔『水稲』物語」~シリーズ日本遺産(21)

熊本県和水町 広報なごみ2019年5月号

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米作り、二千年にわたる大地の記憶~降雨を祈るまつり(2)

◇大野下雨乞い奴踊り(おおのしもあまごいやっこおどり)
この雨乞い奴踊りは、玉名市岱明町大野下の八龍王神社(はちりゅうおうじんじゃ)と大野下八幡宮で、毎年7月の最終日曜日に奉納される踊りです。
踊り手は白法被(しろはっぴ)姿に陣笠(じんがさ)をかぶった江戸時代の参勤交代(さんきんこうたい)時の奴やっこのいでたちをしており、手には御幣(ごへい)と「雨降ろう」という言葉をかけた「フロウ豆」を付けた竹を持っています。

加藤清正(かとうきよまさ)の頃(江戸時代初期)、干拓工事によってこの付近には新たに水田ができました。
しかし、井手などの用水設備がなかったため、干ばつ(かんばつ)に見舞われると数日間神社に泊り込んで、雨乞いの祈祷(きとう)をしていたといわれています。
これに太鼓や鉦(かね)、踊りが加わり、江戸時代に現在のようなかたちになったと考えられています。

踊りの動作には「こぶしで天を突くことで龍神を怒らせて雨を降らせる」「腰を落として足で地を踏み固め、豊作を祈る」という意味がこめられているとのことです。
戦前は雨乞いのときのみ不定期で行われていました。しかし、用水設備の普及により、水不足に悩まされることがなくなった現在は、大野下八幡宮の祭礼「総ごもり」に組み入れられ、毎年奉納されています。

◇米渡尾(めどお)ひょうたんまわし
和水町中央部に位置する米渡尾地区に、杉の木をご神体とした「明神さん」という社(やしろ)があり、そこで行われていた雨乞い神事です。祭りでは笛や太鼓を打ち鳴らし、腰の前に付けたひょうたんを回しながら踊って、降雨を祈ります。

以前は7月26日の祭礼時に雨乞いが行われていました。後継者がおらず一時中断されたものの、近年復活し、現在は地区のお祝い事やいろいろな行事の際に、民俗芸能として披露されています。
(担当:玉名市文化課、和水町社会教育課)