シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介 (25)

京都府福知山市 広報ふくちやま2019年5月号

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■「火熨斗(ひのし)」と「炭火(すみび)アイロン」
福知山市教育委員会蔵

アイロンは衣服のしわを伸ばしたり、折り目をつけたりするのに使用する道具です。現代では電気によるものが一般的ですが、古くは炭を熱源としていました。
このしわを伸ばす道具は江戸時代には「火熨斗」と呼ばれる底が平らな円筒形の器の側面に柄が付いたひしゃくのような形のものでした。多くは真鍮(しんちゅう)製で、中に炭火を入れ、柄を持ち、火熨斗の重さでしわを伸ばしました。
現在のアイロンに通ずる船底型のアイロンは明治時代に洋装化にともない、西洋から伝来しました。当時のアイロンは中に火のついた炭を入れて使ったため「炭火アイロン」と呼ばれました。本体は鉄製で、その熱と本体の重さでしわを伸ばしました。炭火を入れるため胴部が大きく高さもあり、上部が開閉できる蓋になっています。蓋にはガス抜きの煙突と木製の握り手がつき、底には空気を取り入れる穴がついています。また、アイロンのうしろには燃え方を調節する空気穴もあり、火が消えない工夫がなされています。先の尖った船底型の形態は、火熨斗と違い、衣類の細かなところまでアイロンがけができるようになりましたが、電気アイロンの普及とともに次第に使われなくなりました。
現在の電気アイロンも自動温度調節、スチーム、底金にフッ素樹脂塗装、コードレスと時代の変化が見られ、次々と新たな工夫が続けられています。これらの工夫から道具の歴史を通じてその時代の知恵と技術の進歩を感じとることができます。