社説:地銀苦境 地域に資する対応求む

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 上場企業の2019年3月期決算は、純利益の合計が前期と比べて3.2%の減益ペースで推移しているという。

 米中貿易摩擦に伴う中国経済の減速などが、製造業はじめ企業の業績に悪い影響をもたらしているようだ。

 こうした中、東京証券取引所などに上場する地方銀行78社の決算が出そろった。純利益合計は前期比6.4%減の8647億円で、さらに厳しい状況に陥っている。

 減益は3年連続。約7割に当たる54社が、減益か赤字である。

 地銀の業績は、地域の経済情勢を映し出しているともいえる。その苦境を、漫然と見過ごすわけにはいかない。

 人口や事業所の減少によって、地銀を取り巻く経営環境は、もともと良好とはいえない。

 加えて、日銀の大規模金融緩和策によって超低金利が長期化し、利ざやで稼ぐビジネスモデルに、ほころびが生じている。

 貿易摩擦を受けた市況悪化は、投資信託や外貨建て保険の販売にも影を落とす。

 今回の決算では、貸し倒れに備える与信費用が増大した、との指摘もある。

 これでは、収益を増やすのは大変、難しい。

 増益となっても、保有する株式の売却などが要因の社もあり、本業は苦しい状況にある。まだ余力の残る今のうちに、何らかの手を打つべきだろう。

 先月、日銀は、10年後には地銀の約6割が赤字になるという衝撃的な試算を公表した。

 金融庁は監督指針を見直し、不祥事を起こさなくとも、収益の悪化が続く地銀には業務改善命令を出し、トップの交代や合理化を促す姿勢を明らかにした。

 政府も、地銀の経営統合に向けて、独占禁止法の基準緩和を急ぐなど、業界再編に前のめりになっている。

 確かに、業績を上げられないところが、市場から退場を迫られるのは、やむを得ない面もある。

 とはいえ、いずれの対応も、地銀の縮小、撤退だけを志向しているのに、違和感を抱く地域住民もいるはずだ。

 地銀の苦境は、超低金利策の副作用だということも、踏まえておく必要がある。

 地方創生を進めているのは、政府ではなかったか。地域経済を再生し、持続可能なものとする視点から、今後の地銀のあり方を考えてもらいたい。