歩いて学ぶ戦争遺跡 横須賀・観音崎公園でツアー

明治期に築かれた砲台跡などを見て回ったツアー=県立観音崎公園

 県立観音崎公園(横須賀市鴨居)にある戦争遺跡を巡るツアーが18日、開かれた。「東京湾要塞(ようさい)研究家」のデビット佐藤さん(60)が案内役を務め、県内外から参加した15人が旧陸軍の五つの砲台跡や弾薬庫跡などを見て回った。

 佐藤さんによると、観音埼灯台を取り囲むように跡が残る砲台は、主に明治中期から後期にかけて建設され、日清戦争や日露戦争で東京湾を防衛する役目を担った。そのうちの一つ、観音崎第4砲台は敗戦まで、旧陸軍が使用していた。

 ツアーでは、1880(明治13)年に築かれた日本初の西洋式砲台の観音崎第1・第2砲台跡などを見学。砲台に使用されたれんがが強度の高い「イギリス積み」という積み方になっていることなどを学んだ。

 また普段は一般の立ち入りが禁止されている弾薬庫跡や掩体壕(えんたいごう)跡も見て回った。

 埼玉県小川町から参加した伊谷梓さん(73)は「古い砲台だが、れんががきれいに残っており、当時の技術の高さを実感した」と感想を述べた。

 佐藤さんは、戦争遺跡を単に観光目的で利用するだけでなく、その背景にある歴史について深く知ることが重要とツアーの狙いを説明。「これだけ保存状態の良い戦争遺跡は貴重。より多くの市民らに目を向けてもらい、平和について考えるきっかけにしてほしい」と話した。

 ツアーは同公園が主催した。

© 株式会社神奈川新聞社