混迷NPT 準備委リポート(上)<分断>続く膠着 打開を模索

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核保有国と非保有国が対立したNPT再検討会議の第3回準備委員会=4月29日、米ニューヨークの国連本部

 2020年核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が4月29日から5月10日まで、米ニューヨークの国連本部で開かれた。核保有国と非保有国の溝は深く、会議のたたき台となる議長勧告案の採択は見送られた。20年はNPT発効50年と被爆75年となる節目だが、核問題を巡る状況は混迷している。

 「核兵器は減らしてきたが、抑止力は必要だ」

 29日、国連本部のラウンジ。会議の合間を縫い、田上富久長崎市長らと面会したエイダン・リドル英軍縮大使は、一層の核軍縮を求められると、こう言い放った。

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の推計によると、世界の核弾頭総数は1980年代半ばのピーク時から約8割減ったが、2018年6月時点で依然として9カ国が1万4千発超を保有している。

 核軍縮を巡る現状は厳しい。核弾頭の9割を握る米国とロシアが結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約は破綻状態だ。北朝鮮の非核化の行方は不透明なままで、イラン核合意も大きく揺れている。

 5年ごとに開かれる再検討会議。15年の前回会議は事実上の核保有国イスラエルの非核化を狙った「中東非核兵器地帯構想」に米国などが反対し決裂した。今回の準備委も、核保有国と非保有国の間でさまざまな対立点が浮かび上がった。

 両者の歩み寄りが見られず、膠着(こうちゃく)状態が続く中、打開策を模索する国もある。

 「非生産的な対話を乗り越える」。米国は「核軍縮のための環境づくり」と題する新構想の作業文書を準備委に提出した。軍縮を妨げる要因を特定、対処し、核戦争の可能性と核の重要性を低減させる狙いだ。今夏に有志国で作業部会の初会合を開き、20年再検討会議で「最初の結論を共有する」と打ち出した。

 作業部会の参加国は明らかになっていないが、日本外務省関係者は「問題意識は共通しており、現実的なアプローチは大切だ」と参加意欲を示す。

 ただ、米国の方針を「環境が整わない限り、軍縮はしない」と捉える国や専門家もいる。過去の再検討会議での合意がほごにされ、国際的な核秩序の基盤であるNPT体制が形骸化することを懸念している。

 スウェーデンは「飛び石アプローチ」と題し、核兵器の先制不使用宣言など、できることから始めるよう新たに提言した。日本は「賢人会議」が今春まとめた「京都アピール」を紹介し、核保有国と非保有国の「橋渡し」に向け対話と信頼醸成を訴えた。

 賢人会議メンバーの一人で被爆者の朝長万左男日赤長崎原爆病院名誉院長(75)は「(国際社会の)分断は行き着くところまで行った」と心配する。「各国の政府関係者や専門家らが被爆地で核軍縮を議論するフォーラムを開けないか」と提案し、新たな枠組みでの議論を求める。