箱根山、噴火警戒レベル2に引き上げ 火山性地震が増加

箱根山の噴火警戒レベルが2となったため、大涌谷へ向かう県道は通行止めになった=19日午前8時20分ごろ、箱根町

 箱根山(箱根町)の火山活動が活発になったとして気象庁は19日、5段階の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げた。箱根町によると、活発な噴気活動の続く大涌谷の園地は全面的に立ち入り禁止となり、箱根ロープウェイは同日の全線運休を決めた。レベル2への引き上げは2015年5月以来、4年ぶり。

 気象庁によると、18日午前5時ごろから芦ノ湖西岸や駒ケ岳付近で火山性地震が増加。19日午前3時までに46回を数えた。また、3月中旬ごろから、山体の膨張を示唆する地殻変動が観測されている。

 このため同庁は「大涌谷の想定火口域内に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がある」と判断。警戒レベルを2とし、噴石の飛散や火山灰などに注意するよう呼び掛けている。

 また、気象庁より微小な地震も捉える県温泉地学研究所の独自観測では、18日午前5時から午後11時半までに87回の地震を観測。このうち3回は大涌谷と二ノ平で有感となった。

 箱根山では15年4月から火山性地震が多発。同年6月に観測史上初の小規模噴火が発生し、噴火警戒レベルは3(入山規制)となった。その後、活動は沈静化し、同年11月に警戒レベル1へ下げられたものの、大涌谷では噴気の強い状態が続いており、火山活動は完全には終息していない。火山ガスの濃度が安全なレベルにまで低下していないため、ぜんそく患者らの大涌谷園地への立ち入りは規制されていた。

 ◆噴火警戒レベル

 【レベル5(避難)】危険な居住地域からの避難などが必要

 【レベル4(避難準備)】警戒が必要な居住地域での避難の準備、要配慮者の避難などが必要

 【レベル3(入山規制)】登山禁止や入山規制などによる危険な地域への立入規制

 【レベル2(火口周辺規制)】火口周辺への立入規制など

 【レベル1(活火山であることに留意)】状況に応じて火口内への立入規制など

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