今季は犠打「0」で首位打者射程 ホークス今宮健太の“大モデルチェンジ”

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

史上7人目の300犠打に「8」も…今季は犠打が1度もなし

 ソフトバンクの今宮健太は、ゴールデングラブ5回のパ・リーグを代表する遊撃手。昨年までは、「つなぐ打者」であり、犠打を量産していたが、今季はまだ犠打は「0」だ。

○NPBの通算犠打ランキング ※は現役

1 川相昌弘 533犠打(1984-2006)
2 平野謙 451犠打(1981-1996)
3 宮本慎也 408犠打(1995-2013)
4 伊東勤 305犠打(1982-2003)
5 田中浩康 302犠打(2005-2018)
6 新井宏昌 300犠打(1975-1992)
7 細川亨 294犠打(2002-2018)※
8 金子誠 292犠打(1995-2014)
8 今宮健太 292犠打(2011-2019)※

 現役ではロッテの細川亨が上にいるが、今季出場なし。今宮は2013、14、15、17年にリーグ最多犠打を記録。50犠打以上を3回記録するなど、ハイペースで量産しており、今季中にも4位の伊東勤を抜いて史上4位になるのは確実と思われた。

 しかし、今季は犠打は一度も記録していない。今年は役割がガラッと変わっったのだ。

○2017、18、19年の今宮の打順別出場試合と犠打

【2017年】
1番 19試合 2犠打
2番 117試合 50犠打

【2018年】
1番 9試合 2犠打
2番 48試合 16犠打
7番 4試合 1犠打
8番 12試合 1犠打
9番 13試合 2犠打

【2019年】
2番 18試合 0犠打
3番 23試合 0犠打

 昨年までの今宮は2番を打つことが多かった。2番の役割は「つなぐ」こと。犠打も非常に多かった。今宮は当代屈指のバントの名手であり、犠打の成功率も高かった。

3番に座ってからは打率.352、遊撃手で史上4人目の首位打者も?

 今季も3月29日の開幕戦には「2番・遊撃」で先発していた。しかし、4月8日に主砲の柳田悠岐が左膝裏肉離れで登録を抹消されると、工藤公康監督は打線の組み換えを試行錯誤し、4月19日に今宮を3番に据えた。

 それまでの今宮は2番打者として、

18試合 76打数22安打5本塁打7打点 打率.289

 犠打はなかったが例年よりは長打が多く、打撃好調だった。そして、以後の成績は、

23試合 91打数32安打3本塁打16打点 打率.352

 と大当たり。柳田の代役を見事に果たしただけでなく、首位打者争いにも食い込む活躍だ。

 今宮のシーズン最高打率は2017年の.264(17位)、通算打率は2018年まで.247だった。守備の人であったが、プロ入り10年目、28歳のシーズンでの“大モデルチェンジ”なのだ。

 現在打率は3位。遊撃手で首位打者をとれば、1956年・豊田泰光(西鉄)、2010年・西岡剛(ロッテ)、2016年・坂本勇人(巨人)についで史上4人目、パでは3人目。史上7人目の300犠打は、しばらくお預けとなりそうだが、大型化した今宮健太の打撃成績に今後も注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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