角膜、心筋…しのぎ削るiPS細胞の応用研究

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 iPS細胞から作った臓器や組織を医療に役立てるための研究は、全国で活発化している。

 iPS細胞を使った脊髄損傷治療の臨床研究が厚生労働省で了承されたことを受け、慶応大は2月、今秋にも患者募集を始める方針を示した。国内に10万人以上いるとされる脊髄損傷患者の期待も高まっている。同大ではこのほか、同細胞から心筋細胞を作り、重い心臓病患者に移植する臨床研究も計画している。

 大阪大は、同細胞からシート状の角膜組織を作って目の病気の患者に移植する臨床研究が、厚労省から条件付きで了承されたため、6月にも1人目の移植を実施する。東京大は4月、同細胞を使いブタの体内で人の膵臓(すいぞう)を作る研究に取り組む方針を明らかにした。

 神経が弱り体の筋肉が動かせなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の進行を抑える働きが白血病治療薬にあることを、iPS細胞を利用した実験で突き止めた京都大のチームは3月、治験を始めたことを明らかにした。

 神戸大も、京都大iPS細胞研究所との協力体制を強める。同研究所で学んだ神戸大の研究者らのグループは、2014年にはがん細胞を次々に生み出す「がん幹細胞」、今年3月には皮膚の色をつかさどる「色素細胞」の基になる細胞の作製に成功したと発表。治療薬開発の可能性を開いた。