コース上で築いた45秒のギャップ。関口雄飛が16番手から異次元の速さで大逆転優勝【スーパーフォーミュラ第2戦決勝】

 5月19日(日)、2019年スーパーフォーミュラ第2戦オートポリスの決勝レースが54周で行われ、16番手からスタートしたITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛が逆転で今シーズン初優勝を飾った。

 午前中に行われた40分間の予選では3度の赤旗中断があり、最後はセッションが再開されることなく予選が終了。この予選で赤旗の原因となった山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、アーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)のタイムは抹消に。決勝レースのグリッドは山本が17番手、平川が18番手、ニューウェイが19番手、マルケロフが最後尾の20番手となっている。

 タイヤ戦略は、フロントロウの国本雄資(KONDO RACING)と坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)をはじめ、塚越広大(REAL RACING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、関口らがソフトタイヤ。それ以外のドライバーがミディアムタイヤを選択した。マルケロフは予選でのクラッシュの影響で、ガレージからのスタートとなった。

 決勝レースが始まる前には雨もやみ、気温19度、路面温度22度というドライコンディションでレースがスタート。ポールポジションの国本を先頭に坪井、福住と予選順位そのままに1コーナーに向かう。中団以降は若干の順位変動があったものの、スタートでの大きな混乱はなかった。ただ後方では野尻とニューウェイがスタートできなかったが、のちに隊列に加わっている。

 1周目を終え、ミディアムタイヤでスタートした石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、山下健太(KONDO RACING)、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、山本らが早くもピットに入りソフトタイヤに交換した。

 3周目、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)がターン4で飛び出してしまい、コースを防ぐ形でストップしてセーフティカー(SC)が出動。ここで坪井や中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)など数台がピットストップを行った。また20番手からガレージスタートとなったマルケロフはSC出動中の4周目にコースへ出て行ったが、ピットロードを出た直後に挙動を乱し、すぐにコースサイドの芝生でマシンを止めてしまった。

 上位の顔ぶれは、ステイアウトを選択したソフトタイヤスタートの国本、関口、牧野がトップ3に。タイヤ交換義務を果たしたドライバーのなかでは石浦(ソフトタイヤ)が最上位の4番手、坪井(ミディアムタイヤ)が5番手に続いた。

 8周目にはレースのリスタートが切られた。ミディアムタイヤを履いていた5番手の坪井は、ウォームアップ、そしてその後のグリップが厳しいか再開後に9番手までポジションを落とし、10周目には中嶋にもオーバーテイクを許して10番手まで後退してしまった。

 コース上では各所でポジション争いが繰り広げられる。7番手の大嶋に福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が迫り、その後ろでは14番手の塚越と小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が順位を争っていた。上位では13周目に関口が国本を捉えてトップに浮上した。

 ここから関口は、ピットストップのためのマージンを稼ぐべく国本を引き離しにかかった。14周目には1分30秒777というファステストラップを記録し、15周目には7.9秒、16周目には10秒と2番手とのギャップ広げ、ハイペースで飛ばしていった。

 レースの折り返しを前にした25周目、SC出動中にステイアウトを選択した国本と牧野が2番手を争う。3番手の牧野が国本のイン側をこじ開けるような形でオーバーテイクを試みたが、両者はタイヤとタイヤが接触。それでも牧野が2番手の座を奪い、ここで順位が入れ替わった。

 また、25周目にはピットストップ組のトップで4番手を走行していた石浦のペースが上がらず、後方から順位を上げてきた山本にポジションを奪われることに。ここから、関口と山本の実質のトップ争いが始まった。

 折り返しを過ぎた28周目には、先頭の関口と2番手の牧野の差が28秒にまで開いた。またすでにタイヤ交換を済ませているドライバーのなかでトップを走る山本までは34秒となり、順調にマージンを稼いでいった。

 その後方では大嶋が国本を捉えて4番手に浮上すると、国本の後ろには石浦が迫る。さらに山下や福住が近づいてきており、福住の後ろは12番手の小林までがひとつの集団を形成している状況だ。

 37周目には、トップの関口と山本のギャップが45秒に。ピットストップでのロスタイムはおよそ37〜38秒。関口は、ピットストップを行っても実質的なトップでコースに復帰できるだけの差を築いた。そして40周を終えてピットに向かった関口はミディアムタイヤに履き替えて、まだタイヤ交換を行なわずにトップを走る牧野の後ろの、実質トップでコースに戻ることに成功。関口はコースに戻った後、後方の山本とは7秒から8秒の差を保って走行を続けたが、少しずつその差は開いていった。

 50周目には牧野がピットストップを行いミディアムタイヤに履き替え、大嶋の後ろの4番手でコースに復帰。またこのタイミングで国本もタイヤ交換を行い、これでようやく関口がトップに立った。この時点で2番手の山本との差は7秒となっており、関口は最後までこのギャップを保って、大逆転で今シーズン初優勝を飾った。

 スーパーフォーミュラにおける関口の優勝は、これで通算6勝目となる。山本が2戦連続となる2位に入賞し、大嶋が2017年以来となる3位を獲得した。

 ピットアウト直後から牧野は福住と順位を争っていたが、最後まで4番手の座を守り切った牧野が4位、福住が5位に。6位はアレックス・パロウで、TCS NAKAJIMA RACINGはダブル入賞を達成。7位は山下、8位のニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)までが入賞となっている。

今季初優勝を喜ぶITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛と星野一義監督

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