ニュース真偽疑え 著書で実例交え対策 茨城大・古賀特任教授

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「すべてを疑え! フェイクニュース時代を生き抜く技術」を出版した茨城大特任教授の古賀純一郎さん=水戸市文京

真偽ない交ぜの情報が飛び交うメディア環境をどう生き抜くか-。茨城大特任教授の古賀純一郎さん(65)が「フェイクニュースへの対処」をテーマにした本を出版した。あ然とする実例とともに、うそを見抜くための方法などを紹介している。古賀さんは「ネット情報に依存する若い人たちに、立ち止まって考えてもらうきっかけになれば」と話している。

著書のタイトルは「すべてを疑え! フェイクニュース時代を生き抜く技術」旬報社(東京)発行、175ページ。第1部「世界を蝕むフェイクニュースの罠(わな)」、第2部「情報操作にダマされないために」の2部構成。

フェイクニュースとは、真実を装った偽のニュースのことで、特にインターネットの発達を背景にウェブ上で流されるものを指す。同著の中で、古賀さんは「誰でも情報発信できる」「デジタル時代の“あだ花”」と述べている。

第1部では、ツイッター上での「安倍総理逮捕」の偽号外や熊本地震発生時の「動物園からライオンが放たれた」というデマ、実在しない大学の精巧なサイト、沖縄知事選での事例などが挙げられている。

「フェイクニュース」という言葉をよく耳にするようになったのは、2016年の米大統領選だろう。トランプ氏の勝利で決着した同選挙は、ロシアの情報操作疑惑が今も尾を引く。一方、トランプ氏自身も既存メディアの報道に対しフェイクと非難している。

同著で、古賀さんは、世界では「国家間のプロパガンダ(政治宣伝)」として、偽ニュースが意図的に作り出され、流されていると指摘。情報戦の道具となっている実態に触れている。

それでは、こうした偽ニュースから身を守るには、どうすればいいのか。第2部は、その対応策。

ウェブサイトの運営は広告収入に依存し、閲覧やアクセスの件数が増えるほど実入りが大きいという関係性から、うその交じる過激な情報が生まれやすい。古賀さんは「情報を過信しない」「フェイクニュースではと疑ってかかることが肝心」と助言。海外放送機関や米メディア通のジャーナリストらが提唱する「単純さにそそのかされない」「情報は検索で確認」「媒体より発信者で選ぶ」といった対処法を紹介している。

古賀さんは、元共同通信記者で、経済部やロンドン支局などに所属した経歴を持つ。茨城大学ではジャーナリズム論を教える。今回の著書は大学での講義内容を下敷きにしたという。

古賀さんは「民主主義が機能するには、有権者に、正しい情報が与えられなくてはならない。フェイクニュースはその根幹を壊してしまう。ネット情報をそのまま信じてしまう若者が多いことに危機感を感じ、この本を執筆した」と話している。
(佐川友一)