古里の海 ごみから守る 五島の高校生がシンポジウム 「分別」「リサイクル」…意見出し合い宣言文に

宣言文に使う言葉などを考える高校生たち=県立五島高

 国内外で深刻化する海ごみ問題について理解を深めようと、長崎県立五島高の生徒グループは18、19両日、五島市池田町の同校で「高校生環境シンポジウム」を開催した。参加者は専門家の講演やワークショップを通じ、現状や自ら取り組むべき対策などを検討。古里の海を守る活動方針を宣言文にまとめ発表した。
 同校3年の宮崎幸汰さん(17)を中心に、昨夏発足したチーム「mai→pla(マイプラ)」が主催。海岸の環境保全に詳しい九州大大学院の清野(せいの)聡子准教授らに助言を受け、準備を進めてきた。2日間で、高校生や一般市民ら延べ100人以上が参加した。
 五島市には国内外から多くのごみが漂着し、処理費用は年間1億円に上る。18日に講演した清野准教授は「税金で処理するだけでは(費用面などから)手が付けられないままの場所も多い」と指摘。五島には海流や風の影響で、中国や韓国から東シナ海に出たごみが最初にたどり着くため「五島が東アジアの中でリーダーシップを発揮し、処理やごみ抑制について周辺諸国と交渉していくことが大事」と述べた。
 マイプラも、昨年から市内の海岸で取り組む漂着ごみとなった製品の原産国調査の状況を報告。その後、環境保全などについて国連が2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」の17目標から、参加者がテーマを選び、自ら取り組む活動を考えるワークショップもあった。
 翌19日は、五島高と五島海陽高の生徒25人が「ごみの分別」や「リサイクル、リデュースなど5R活動の推進」などを盛り込んだ宣言文を作成。マイプラが作ったたたき台を基に、分かりやすい表現などを話し合った。今後は英語版も作成し、五島高のホームページに掲載する予定。宮崎さんは「多くの人と話し合うことで多様性が生まれ、自分では考えもしないアイデアが出てきた。今後も活動を後輩が引き継いでほしい」と話した。

生徒だけで意見を出し合い、宣言文を完成させた

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