2019年シーズンのメルセデスF1チームは、開幕直後の5戦では無敵だった。では残りの16戦も制することができるだろうか?
「誰にも分からないよ」と2019年にすでに3勝しているルイス・ハミルトンは言う。
「開幕からの5戦で全勝できるなんて、まったく思わずにシーズンに臨んだんだ。連勝はチームの皆にとって信じられないほどの励みになっている」
「チームの誰もが、今も信じられないくらい懸命に作業に取り組んでいて、そうした場面を目にするのは素晴らしいことだ。本当に驚異的な人々の集まりだよ」
「エンジニアの部署で、自信過剰になっている者などひとりもいない。僕たちは自分たちでできる改善について話し合い、どうすればマシンを改善できるかについて議論している。彼らは推測による批判を気にしない。個人攻撃だとはとらえないんだ」
「過去から現在までのF1チームのなかでも最強だと思う。この強さをしのぐことは難しいだろうね」
ハミルトンにとって、今年の最大の脅威は誰なのだろうか?
「最大の脅威は、自分に最も近いところにいる人間であることが常だ」とハミルトンは答えた。
「僕たちと他のチームの間には差がある。レッドブルは(ルノーからホンダへと切り替えることによって)今年エンジンを改善しているけれど、彼らはまだ過去数年のように優れたマシンを作り上げていない」
「フェラーリにも強力なパワーがあるが、不足している領域がある。(スペインGPでは、コーナーの多い)コースの最終パートで彼らは本当に手こずっていた」
「だから自分に一番近いところにいる人物がいつだって最大の脅威だ。特に彼(バルテリ・ボッタス)は素晴らしいラップを走ることがあるからね。チームにとって良いことだし、彼はチームでのポジションを得るにふさわしい人物だ。彼が次のレベルにステップアップするのを見るのは嬉しいことだよ」
しかしハミルトンはボッタスと互いに戦うよりも、他のチームと戦う方を好むという。
「チームメイト同士の戦いは、他のチームとの戦いほど面白いものではない」とハミルトン。
「それがF1というものだ。コースに到着して、最高のバトルを仕掛けてくる他のチームと競い合う。つまり、戦いを心躍るものにしてくれるドライバーがふたり、側にいるということになる」
「そうしたことが起きていない状況は、競争という観点で言えば、圧倒的につまらないものだ。チーム内での争いだけというのはF1のあるべき姿ではない。けれどもこれが実態であり、過去にも同じようなことはあった。でも、チームのスタッフが優れた仕事をしているだけで、僕たちの過失ではないよ」
1シーズン中にすべてのレースで優勝したF1チームはこれまでないが、1988年にはマクラーレンが16戦中15戦で優勝している。そしてイタリアGPでアイルトン・セナが周回遅れのマシンを抜く際にクラッシュしていなければ、チームは16勝を達成できていたはずだ。