韓国2大巨頭のヒュンダイとキアが、EVハイパーカー企業『リマック』に共同出資

 韓国を代表する2大自動車メーカーであるヒュンダイとキアが、クロアチアで2009年に創業したEVハイパーカー企業の『リマック・アウトモビリ』に対し、8000万ユーロ(約98億2000万円)の共同出資を決め、高性能な電気自動車技術にアプローチすべく資本参入すると発表した。

 5月14日にアナウンスされた3社のステートメントによれば、リマックがこの資本参加を受け入れる形を採り、今後は高性能電気自動車の開発で協力するための戦略的パートナーシップを結び、あらゆるエリアで技術的協力体制を築いていくとしている。

 このプロジェクトはヒュンダイ・モーター・グループによるゼロエミッションモビリティへの移行を加速するというプロジェクトの一環として捉えられており、現在世界の自動車市場で第3位の販売台数を誇る巨人が、33.88%の株式を保有するキア・モータースとのアライアンスを活用して、EV開発を推し進めていく計画だという。

 この新たなパートナーシップの締結により、ヒュンダイとしては2020年をめどに現在の内燃機関搭載モデルの高性能ロードカー部門“N”ブランドと並行して、フューエルセルと呼ばれる燃料電池車やフルEVのハイパフォーマンスカー開発を進めていくことになる。

 今回の資本参入の内訳は、ヒュンダイから6400万ユーロ(約78億5000万円)が投資資金として拠出され、キアから残る1600万ユーロ(約19億6000万円)が支出される。

 ヒュンダイ・モーター・グループの取締役副会長を務める鄭義宣(チョン・ウィソン)は、次のように語っている。

「リマックは、その卓越した開発力と技術力によって、高性能電気自動車における真のイノベーティブ・カンパニーとして認知されている。彼らのルーツとなるスタートアップの精神と、我々が有する量販自動車メーカーとしての技術と豊富な経験をコラボレーションさせることで、リマックが理想的なパートナーになることを確信している。我々としても、クリーンモビリティへの道筋でリマックと協力することをとても楽しみにしている」

資本提携と技術パートナーシップ契約を結んだヒュンダイの鄭義宣(チョン・ウィソン/右)とメイト・リマックCEO
クロアチアのファクトリーでアッセンブリー部門を視察するヒュンダイ・モーター・グループの一団
創業以来、数台のコンセプトカーを披露してきたリマック。最新モデルは1914PS/2300Nmを標榜する

 その言葉に対し、リマック・アウトモビリ創業者で現CEOのメイト・リマックも「我々は、ヒュンダイ・モーター・グループのビジョンと迅速で決定的なイニシアチブに非常に感銘を受けている」と続けた。

「このヒュンダイ、キアとのテクノロジー・パートナーシップは、当社とその顧客にとって最大の価値を生み出すと確信している。リマック・アウトモビリはまだ若くて比較的小規模だが、急成長している会社でもあるんだ」

「ヒュンダイグループには強力な投資家と技術パートナー、サプライヤー陣が数多く名を連ねている。このコラボレーションが、業界のティア1エレクトロニック部品サプライヤーとしての我々の地位を高めるものと確信しているよ」

 このリマック・アウトモビリにはポルシェAGも関与を深めており、2018年には同社の株式10%を取得。またリマックとしてもEVモータースポーツへの進出もにらみ、電動ツーリングカー選手権“ETCR”向けにセアトのレーシング部門、クプラが製作した『セアト・クプラ e-Racer』との技術コラボレーションもアナウンスしている。

 さらにヒュンダイ自身もこの2020年創設を目指しているETCR用のマシン開発を示唆しており、この分野での協業や、あるいは市販ロードカーで争われるWEC世界耐久選手権でのハイパーカー・クラス参入にも視野が広がる提携となっている。

2019年のNYショーにはホワイト&ネイビーのカラーリングで現れた『リマック C_Two』
クプラに続き、ETRCへの関与を公式に表明した2番目のメーカーとなったヒュンダイ
2019年シーズンのCTCC(チャイナ・ツーリグカー選手権)では新型K3 2.0Tを投入したキア

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