「殺していない、無実です」 殺人事件の被告が無罪を主張

 相模原市南区の路上で2017年12月、男性=当時(60)=が刺殺された事件で、殺人の罪に問われた無職の男(41)=同区=の裁判員裁判の初公判が20日、横浜地裁(田村政喜裁判長)であった。被告は「殺していない、無実です」と起訴内容を否認。弁護側も被告の犯行とするには証拠に乏しいとして無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、「歩いていた男性を被告が自転車で追い抜く際にトラブルとなり、持っていた刃物で腹や胸などを刺して逃走した突発的で、激情的な犯行だ」と指摘。被告の眼鏡などが現場から発見されたほか、男性の血痕がついた自転車が被告の自宅アパートの駐輪場に止めてあったことを説明した。

 弁護側は、被告が当時酒を飲んで酔った状態だったとした上で、「たまたま所持品を落としたことも考えられる」と反論。アパートの駐輪場には誰でも出入りが可能だった点から、被告を犯人と特定できる証拠にはならないとした。

 起訴状などによると、被告は17年12月12日深夜、同区大野台6丁目の路上で、近くに住む会社員の男性の胸や腹を刃物で突き刺すなどして殺害した、とされる。

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