ロッテ“新勝利の方程式”に入る3年目右腕の決意 「CS、日本シリーズを経験したい」

ロッテ・酒居知史【写真:荒川祐史】

ロッテのリリーフ防御率はリーグトップの2.69をマーク

 5月20日現在、リリーフ防御率2.69とリーグトップを誇るロッテ。その中でシーズン途中から勝利の方程式の一角を任されているのがプロ3年目の右腕・酒居知史投手だ。

 昨年は1軍15試合中、14試合で先発登板したが今年からリリーフ専任となった酒居。「先発と中継ぎ、どちらをやるかっていうのもあったんですが、去年秋のキャンプぐらいから『(2019年は)中継ぎで』というニュアンスはコーチの方からもありました。(11月の)台湾遠征でも3試合ともクローザーをやっていましたし、(オーストラリアでの)ウィンターリーグでも結局1か月ずっとクローザーだったので、完全に頭の中は中継ぎだった」と、シーズン前からリリーフとして投げる決意は固まっていた。

 プロ野球史上初となる“開幕戦1球勝利”でスタートした2019年シーズン。当初の役割はビハインドゲームのロングリリーフだった。「リリーフをやるならいい場面で投げたいと思っていましたが、どんな場面でもやれることは一緒だなと思いながら投げていました」という。オープン戦とシーズン序盤の投球を見た首脳陣は、そんな彼を勝ちパターンの一角に組み込むと決断。「実際そういういいところで投げさせてもらっているのは、すごくモチュベーションになっている」と、その表情は充実感に満ちている。

益田、西野、松永ら中継ぎの先輩たちから様々な知識を得る

 その充実感をもたらしている要素の一つが、日々得られる「リリーバーとしての知識」だ。現在のロッテブルペン陣には、今季守護神を務める益田直也(2013年33Sで最多セーブ投手)、西野勇士、松永昂大など、ここ数年ロッテブルペンを支えてきたリリーバーたちが、戦況を見つめながらそれぞれ自分たちの出番へ向け準備を進めている。その諸先輩たちから酒居は日々、様々な知識を得ているという。

「本当に毎日、アドバイスと受けています。今はわかりやすく7回にというのがありますが、それ以外にもイニング頭から行かない時の作り方であったりとか。つい最近も『お前ちょっと作るの早いぞ』と西野さんや、やっさん(田中靖洋)から言われました。益田さんからは試合の流れの見方を『こう言う状況だから、この選手に(照準を)合わせた方がいいんじゃないかとか。松永さんには『3人目くらいで行くぞ』って言われても、意外と時間があって、投げられるからそんなに急がなくてもいいよといつも言われています」と、楽しそうに話すその表情から、日々自身のリリーバーとしての考え方、精神面の成長を実感している様子が伺えた。

 そんな中、こちらも守護神経験のある西野から「立ち振る舞いや言動といった部分も含めて、やっているポジションに責任感を持ってほしい」と、助言を受けたという。勝ち試合を任された経験も豊富な西野が自らの経験者の言葉を、酒居も「そういう部分も勉強させていただいています」と、その言葉を真摯に受けとめていた。

3年目右腕の目指すところは「CS、日本シリーズを経験したい」

 そうした日々の積み重ねが、現在チーム最多となる20試合登板10ホールドという数字にも表れているが「『投げてなんぼ』と益田さんには言われていますし、10ホールドも新鮮な毎日を過ごさせてもらっている中、気付いたらその数字だったという感じです。日いつ投げるかわからない中で、どうやって抑えていけるかということを心がけてやっています」と、数字に特別な感情はない。

 吉井投手コーチの明確な投手起用により、ロッテブルペン陣は個々に役割がはっきりしているが「気持ちの入れ方とかもわかりやすく入れやすい。自分の考えで動くことは当たり前なんですが、それをよりわかりやすくしてくれているので、無駄はないんじゃないかと思っています」と、初めてのリリーフでのシーズンにもここまでは対応できているが、1シーズンという長い期間の中、この先は酒居のとって未経験のゾーンとなる。

 その点については「先輩方にどの時期からきつくなるとか聴きながら、まずは体力面で(準備を)怠らないように、自分でできること、当たり前のことは当たり前にして、とにかくコンディショニングの面で後手に回らないようにを、心がけていきたい」と、先を見据えている。

 ここまで20勝20敗1分で現在チームは3位につけている。まだまだ戦いが続いていくが「任されたところをしっかり抑えられるようにして、それが微力ながらチームの勝利につながって、経験したことがないCS、日本シリーズを経験したいので、そこを経験できるように抑えていきたい」と、3年目右腕は、諸先輩たちから学び、自らを向上させながら、実り多き10月を目指して日々自らの役割に邁進していく。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2