鎌倉の古民家が「みらいラボ」に変身 文化活動拠点に

「鎌倉みらいラボ」に生まれ変わった旧村上邸

 鎌倉市西御門2丁目にある古民家「旧村上邸」が、「鎌倉みらいラボ」として生まれ変わった。市が耐震改修した建物を、公募で選ばれた地元企業が企業研修や市民の文化活動の拠点として運営する。20日に、関係者らにお披露目された。

 市都市景観課によると、旧村上邸は1939(昭和14)年以前に建てられた2階建ての和風木造住宅。41年に故・村上忠助氏の所有になった。

 村上氏は母屋(約380平方メートル)の一部を改造した能舞台や、別棟の平屋の茶室(約36平方メートル)で、能や謡曲、茶会などを盛んに開いた。「建物を市民に利用してほしい」との村上氏の妻・梅子さんの遺志で、2016年に土地と建物が市に寄贈された。

 市は遺志を受け継ぎ、約3300万円かけて耐震改修し、建物を活用・運営する民間企業を公募。2社から、「企業研修や保養、市民活動ができる場に」と提案した、空き家再生などを手掛ける不動産会社「エンジョイワークス」(同市由比ガ浜)を選び、定期賃貸借契約を結んだ。

 同社は建物に大きく手を加えることなく、内装の一部を変更。3部屋が連なる畳の間は会議室として利用でき、能舞台や茶室もそのままに使用できる。また緑豊かな庭園が望めるラウンジスペースを用意。受付カウンターを手作りするなど市民と一緒に内装作業を進め、今月13日にオープンさせた。

 お披露目会には地域住民や関係者らが出席。同社の福田和則社長は「今後も市民とともに、この場を運営していきたい」とあいさつ。都内から駆け付けた梅子さんのおいの村上日出夫さん(76)は「笛の音や謡曲など、日本古来の音が響いていた建物を残したかった。何か皆さまの力になれれば」とリニューアルを喜んだ。

 利用時間は、日曜・祝日を除く午前9時から午後5時まで。料金は全館利用で1日10万円など。25日にも内覧会が開かれる。問い合わせは運営子会社電話0467(81)4242。

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