被爆体験者差し戻し審 長崎市、控訴断念の公算

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 国が指定する地域の外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」の故上戸滿行さんについて、指定地域に入市した被爆者であると認めた長崎地裁の差し戻し審判決を受け、長崎市は21日、対応方針を表明する。控訴を断念する公算が大きい。

 上戸さんは被爆体験者集団訴訟の原告の一人。最高裁が2017年に被爆の有無を審理させるため地裁に差し戻した。上戸さんは11年に81歳で死去したが、最高裁の判断に基づき遺族が訴訟を引き継いでいた。

 上戸さんの入市被爆を証明する証人はいなかったが、差し戻し審で地裁は、上戸さんの生前の証言を「信用性が高い」と判断。被爆者健康手帳の交付申請と健康管理手当の支給認定申請を却下した市の処分を取り消す判決を14日に出した。

 地裁は1月、証人がいなかった韓国人元徴用工3人について、証言は信用できるとして被爆者と認める判決を出し、市は控訴を断念した。今回も控訴しなければ上戸さんの死去に伴い手帳は交付されないが、健康管理手当は08年の申請後から11年の死去までの額が遺族に支払われる可能性が出てくる。