不登校やいじめ、虐待など子どもが直面する問題が複雑化する中、福祉の視点から未然防止、解決を図るスクールソーシャルワーカー(SSW)について学ぶイベントが19日、長崎県庁であった。主催した市民団体「子どもの権利条約ながさきネット」の古豊慶彦世話人(31)は「SSWはまだ認知度が低く、役割や意義を知ってもらおうと初めて企画した」と述べた。
イベント名は「子どもの権利フォーラム-SSWって、なぁに??~ささえる・つなぐ・つくる」。県内の公立高でSSWを務めている長友睦子さん(60)と長崎市の伊藤岳弁護士(39)が講師を務め、市民約40人が耳を傾けた。
SSWは、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ人や、教育や福祉両面で専門的な知識や技術を持つ福祉の専門職。文部科学省が2008年から導入している。県教委によると、県内では、21市町の教育委員会と県内26校の県立中、高校、特別支援学校を合わせ約50人のSSWが配置されているという。
長友さんは「SSWは、学校側の立場の人間だと認識されがちだが、教員とは違い、福祉的な視点で問題を見る。子どもたちが悪いのではなく、環境に問題があり、それが何なのか見立てる力が重要」と指摘。「校内でチームを作るだけでなく、児童相談所や福祉事務所、保健・医療機関、警察などと連携しながら問題にアプローチするのが私たちの仕事であり、それが最大の強み」と語った。
社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持つ伊藤弁護士は「もっとSSWの実績や社会的な意義が認められ、将来は全校に配置され、課題を発見するなど能力を発揮するのが望ましい」と述べた。