<大ヒット盤> THE YELLOW MONKEY『9999』 明快な印象受けるのは、4人の絆が強くなったから?

THE YELLOW MONKEY『9999』

 2016年の再集結後初となる19年ぶりのオリジナル。レコーディング場所を従来のロンドンからL.A.に変えたことや、4人の絆がより強くなったことからか、全体に明快な印象を受けた。

 勿論、吉井和哉の隠喩に富んだ深い歌詞は健在だし、演奏や歌声が濃密に絡み合う点も唯一無二のイエモン流で、シングルの『砂の塔』は従来からの退廃的な世界観が色濃く感じられる。本作はそれでいて、GS歌謡風の『Balloon Balloon』や、「大丈夫 僕ら君の味方だよ」とピースフルに歌うギターロックの『Horizon』など、大人の余裕も備わったのだ。

 また、『Love Homme』は性描写がより濃密になっているし、『ロザーナ』は聴くほどに切なくも強い愛を感じさせる。様々な音楽ルーツを取り入れ、歌詞や演奏がより人間味を増している点からか、意外にもサザンオールスターズに近い聴きごたえを覚えた。それゆえ、今後彼らの新たな代表曲も生まれるのではと期待している。

 DVD収録のLIVEセレクションやアルバム制作のドキュメンタリーも、ただ前だけを向いているのが伝わる。本作を堪能すれば、気心の知れた人とガッツリと組んで新たな挑戦をしたくなるはず。

(ワーナー・CD+DVD初回盤4500円+税)=臼井孝

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