職場環境の公表が高いROE獲得につながる

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人的資本に関し、市場関係者が求める透明性を実現していくことは、企業のリーダーシップにとって重要な領域となってきている。多くの企業は男女間賃金格差やダイバーシティ・インクルージョン、有給育児休暇などの米国労働者にとって重要な方針に関して、未だ十分な情報を公開していない。JUST Capitalの分析によると、従業員が重きを置く職場環境に関する方針を公表している企業ほど、より高いROE(自己資本利益率)を生み出している。(翻訳=梅原 洋陽)

この調査は、従業員への投資は企業にとっても従業員にとっても有益であることを示している。JUST Capitalはアメリカ国内の最大手890社の、CSRレポート、ウェブサイト、そしてその他の公表されている情報を調査し、それぞれの企業の職場環境において重要な9つの方針の開示状況を分析した。

すなわち男女間賃金格差、多様性と機会均等に関する方針、多様性と機会均等に関する目標、有給休暇、有給育児休暇、託児施設、フレックスタイム制、キャリア開発、学費返済の9点だ。これらの方針は、JUST Capitalが8万1千人以上の米国の従業員を対象に実施した、過去4年間のアンケート調査の分析結果を反映している。

投資家や政策立案者、そして一般市民からの強い求めがあるにも関わらず、米国最大手890社のうちのたった18社、つまり2%しか上記の9つ全ての方針に関する情報公開を行なっていなかった。

「情報公開は、市場がパフォーマンスを把握し、重要な労働環境を整備するリーダーシップを評価するために非常に重要です」とJUST Capitalのマーティン・ウィットテイカーCEOは語る。

「企業にとって最も重視すべきは、労働環境だと米国人は常に述べています。そして幸いなことに、実際に労働者に投資をしている企業は、見返りを多く受けているようです」(ウィットテイカーCEO)

JUST Capitalの分析によると、分析された9つのうちの8つの方針に関しての情報を開示している企業は、開示してない企業に比べ、5年平均のROEで見て1.2~3%とかなり高い値を示している。

分析された890社の中で、
・86%が多様性と機会均等に関して情報を公表しており、2.5%高いROEを獲得
・85%が有給休暇に関して情報を公表しているが、ROEのメリットは特になし
・68%が学費返済に関しての情報を公表しており、1.2%高いROEを獲得
・72%がキャリア開発に関しての情報を公表しており、1.4%高いROEを獲得
・45%がフレックスタイム制についての情報を公表しており、2%高いROEを獲得
・28%が有給育児休暇に関して詳細な情報を公開しており、2.2%高いROEを獲得
・23%が託児施設に関しての情報を公表しており、2.5%高いROEを獲得
・11%が多様性と機会均等目標に関しての情報を公表しており、2.4%高いROEを獲得
・7%が賃金の男女差に関しての分析を公表しており、3%高いROEを獲得

9つの全ての方針に関して公表している18の「ウィン・ウィン企業」は、3M、Alliance Data Systems、Boston Scientific、Eli Lilly、Goldman Sachs、Hasbro、Intel、Jones Lang LaSalle、Marriott、Nike、NVIDIA、PayPal、PepsiCo、Qualcomm、State Street、Symantec、Texas Instruments、Wells Fargoである。

分析に加えて、JUST Capitalは“Win-Win of JUST Jobs microsite”というサイトを提供している。このサイトでは、9つの方針に関する開示状況を業界や企業ごとに調べることができる。

このプロジェクトのゴールは、リーダーや、投資家、従業員やステークホルダーが現在の情報公開の状況を簡単に把握できるようにし、透明性を推し進め、働く人の優先順位をより反映した労働環境づくりを推進することである。

この分析の発表の数週間前に、証券取引委員会の投資諮問委員会は、「多くの巨大企業にとって、人的資本は最も貴重な価値であり投資対象であるという認識が強まっている」と人的資本に関する情報公開を進めるよう促している。

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