「お互いさま」で支え合えたら 田中美貴さん 「つどい場 ゆいまーる」開設へ 障害、介護、子育て… 地域づくり考える拠点

「お互いさまの気持ちで支え合うための場をつくりたい」と話す田中さん=佐世保市栄町

 障害や介護、子育てなどさまざまな困難を抱えた人と共に暮らすための地域づくりについて考える拠点「つどい場 ゆいまーる」が6月中旬、長崎県佐世保市栄町に開設する。子どもから高齢者まで利用しやすいカフェを運営しながら、介護の現状や障害者の自立支援に関する勉強会を予定。田中美貴さん(48)=白南風町=は「お互いさまの気持ちで生活ができる仕組みをつくる場にしたい」と意気込む。

 高校時代から障害者施設などでボランティア活動に熱中した田中さん。大学卒業後は高齢者のデイケア施設など福祉の現場で働き、社会福祉士や准看護師などの資格も取得した。

 そんな中、障害者の知人に「サポートするという考えではなく、一緒に地域をつくるという視点を持ってほしい」と言われた。自らも子どものころ、両親が家業で忙しく、親戚に預けられた。引け目を感じたり積極的に手伝いをして居場所をつくろうとしたりした経験があった。「一方的な支援では負担になることもある。互いの人生を支え合う仕組みをつくりたい」。長年実行に移せなかったが、2年前に両親を相次いで亡くしたことで、後悔のない人生を送ろうと踏み出した。

 ゆいまーるは1階のカフェと2階のイベントスペースで構成。軽食を提供するカフェは、視覚や聴覚に障害がある人と一緒に、1人で来店しやすいメニューや店づくりのヒントを探る。ひとり親家庭が夕食を取る機会を提供する計画もある。2階では身体障害を抱えて1人暮らしをする当事者や孤独死に詳しいライターの講演会などを開く予定。地域の人が意見を出せる場をつくり、ニーズを掘り起こす。

 将来は、社会福祉の制度とゆいまーる独自の有償サービスを組み合わせ、困難を抱える人とその家族を支えるケアに取り組む考えだ。「ここがあれば大丈夫と思ってもらえる場所にしたい」と前を見据えた。

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