立田山でイノシシ激増、18年度43頭捕獲 熊本市は対策に力

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森林総合研究所九州支所が立田山に設置したカメラに写ったイノシシ=2018年8月(同支所提供)
イノシシに収穫直前の稲を食い荒らされた龍田西小の学校田=2018年10月(龍田西小提供)

 熊本市中央区と北区にまたがる立田山で、イノシシが急増している。市がまとめた2018年度の捕獲頭数は、17年度の8頭から5倍以上増えて43頭。農作物の被害が相次ぐ一方、住宅街が近いため猟銃が使えず、駆除は追いついていない。市は民間の狩猟団体と連携して箱わなを増やすほか、自治会や学校に注意喚起するなど対策に力を入れ始めた。

 森林総合研究所九州支所によると、立田山では江戸時代までイノシシが生息。明治時代以降に狩り尽くされたとされる。ところが、13年12月、同支所が南側の実験林に仕掛けた自動カメラがイノシシの姿を初めて撮影。それから5年が経過し、同支所はほぼ全域に活動範囲が広がったとみている。

 同支所森林動物研究グループ長の安田雅俊さん(50)は「どこから入ってきたのか分からないが、10年ほど前に痕跡が見つかり始めた。最近は頻繁にカメラに写っており、増えているのは間違いない」と指摘。急増の背景としてイノシシが多産であることに加え、立田山は餌が豊富で、水や隠れる場所があることを挙げる。

 住宅街は立田山の周囲に広がっており、田畑のほか家庭菜園が荒らされる被害も出始めた。市鳥獣対策室は18年10月、イノシシの生態や対処法を知ってもらうため、立田山に隣接する12の自治会や小中高7校などと対策会議を開催。チラシを配布し、餌になる生ごみや野菜くずを捨てないよう呼び掛けた。

 箱わなしか頼れない捕獲には限界があり、同室は「行政や駆除隊だけでは太刀打ちできない。地域の協力が不可欠」としている。(久保田尚之)