車にひかれ死亡した6歳男児は酩酊していたか

ロ医師のとんでも鑑定に有罪判決

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。

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判決を発表したロシア捜査委員会のサイト

 交通事故で愛する6歳の息子を失い、さらに事故原因として息子が酒を飲み酩酊状態だったとの思いがけない鑑定結果が出れば、両親はどれほどのショックを受けるだろうか。ロシアで22日までに、こうしたとんでもない鑑定結果を出した法鑑定医に対する有罪判決が出た。 

 モスクワ州のショルコフスキー市裁判所は、2017年4月に同州バラシハで車にひかれ死亡した6歳のアリョーシャ・シムコ君を鑑定した法鑑定医ミハイル・クレイメノフ被告に対し、職務怠慢の罪で10カ月の矯正のための労働の判決を言い渡した。ロシアの捜査委員会が発表した。同被告はアリョーシャ君の血中から大量のアルコールが検出されたとして、アリョーシャ君が事故当時、酩酊状態だったとの鑑定結果を提出したが、判決は同鑑定は被告が適正な手法で血液を採取しなかったことなどにより生じた結果で、アリョーシャ君は酔っていなかったと断定した。 

 事件は「酔っ払った少年」事件と呼ばれ、同国で大きな関心を集めていた。クレイメノフ被告は判決を不服として控訴する意向を表明。一方、アリョーシャ君の父親も判決後、間違った鑑定は職務怠慢によるものではなく、組織的に事故の内容を故意に改ざんしようとした結果だとして、より重い判決を求めると語った。 

 クレイメノフ被告に対する判決で、裁判所は採血時にバクテリアが混入し繁殖したことが血液中にアルコールが生じた理由だとし、汚染された器具を使用したことや、きちんと調べれば生存中に摂取したアルコールでないことは容易に分かったはずだったにもかかわらずチェックしなかったなどとして、職務怠慢に当たると判断した。最初の鑑定後、親族らの抗議を受け捜査委員会が専門家からなる委員会を設置、再鑑定したところ鑑定結果の誤りが判明した。 

 アリョーシャ君をひいた女は17年11月、過失致死の罪で開放型刑務所での禁錮3年の有罪判決を言い渡された。256万3000ルーブル(約440万円)の賠償も命じられた。女は法廷で自身は交通規則を遵守しており、横断歩道のない場所では歩行者は車の通行を妨げてはならないとの規則を盾に、男児を監督すべき両親に罪があったと主張、無実を訴えていた。 (共同通信=太田清)