「オーバーツーリズム対策」を読み解く 護得久朝晃氏(沖縄エクスカージョンズ社長)

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 タイの国立公園管理当局は10日、昨年6月よりサンゴ礁や海洋生態系の再生などを理由に立ち入り禁止としている同国南部ピピ島にあるマヤ湾の閉鎖期間を少なくとも2年間延長し、2021年6月までは観光客の出入りを禁止する方針を明らかにした。(5月11日、CNN)

情報共有し地域同意を

 この1年で国内外のメディアや観光業界の議題において「オーバーツーリズム」が増えてきた。記事は同島がハリウッド映画のロケ地となったことをきっかけに観光客数が増加を続け、環境保全を理由に閉鎖を決めたという由だ。

 ピピ島は一大リゾート地プーケットから、船で2時間ほどに位置する。人口3千人に対して2017年は200万人の訪問客数があったとのこと。同島ではサンゴ約1万個も湾周辺に再移植済みで、自然条件の十分な回復を見極めるため、今後も3カ月ごとに評価作業を繰り返すとの方針だ。

 オーバーツーリズムは世界各地で問題になっているが、多くの事例が「自然環境破壊型」と「地域住民の生活悪化型」に大別できる。「自然環境破壊型」では、フィリピンでも環境汚染を理由にボラカイ島へのクルーズ船乗り入れ規制を昨年に続き強化すると発表された。日本では「地域住民の生活悪化型」が先行し、京都では観光バスによる交通渋滞や市街地の混雑、マナーやごみ、落書き等が問題化し対策が取られてきた。

 沖縄は海外都市のベネチア、アムステルダム等の問題事例やハワイと比べ、人口対比で測った場合の受け入れ可能観光客数にはまだ余地があると推察される。ただ、京都同様に渋滞、ごみ問題等が顕在化してきており、入域観光客数が1千万人を超える今、緻密な対策を求められる時期に来ている。

 対策としては、海外事例から学ぶに、地域への誘客分散化(代替候補の存在)が挙げられる。実際にボラカイ島の事例では、フィリピン全体の約3割の訪問客数(200万人)を占める同島の受け入れ規制で訪問客数は半減したにもかかわらず、他のリゾートが多数存在することで、最終的に同国として昨年の観光客数は7%増加を記録した。その意味で、沖縄では八重山、宮古島をはじめとする多くの離島が開発されることは有効だろう。今月よりJTB社が主導し開始した非繁忙期に訪問客数の平準化を促すプロモーションも、経済的な恩恵に加え、自然にオーバーツーリズム対策のひとつとなろう。各事業者における海以外の観光コンテンツの開発を進めることも一助となる。

 そして最も重要なのは「地域コミュニティーの同意」への施策ではないだろうか。観光目的税を導入し地域へ有効活用すること、県が行う県民の意識や自然資源の評価等も含む「沖縄観光成果指標」をしっかりと定点観測、分析し、データに基づく施策の設定が重要と考える。観光客受け入れ可能数の目安を設定し県民への情報共有を図ることも有用だろう。観光立県のリーダーシップに期待したい。(沖縄エクスカージョンズ社長)=毎週水曜日掲載。

次回は嵩原義信JA沖縄中央会参事です。