【SOTOから新発売】低温&風に強く、山で料理しやすい分離型カセットガスストーブを早速レビュー! 4月10日以降に発売予定のSOTOのカセットガスストーブ『フュージョン』。同社お得意の低温に強いマイクロレギュレーターを搭載。風にも強いヘッド構造、しかも大鍋も安定して調理できる分離型。その使い勝手の実際を、レビューしてみました!

キャンプのイメージの強い分離型ストーブ。

でも、山でも便利なんです!

燃料タンク分離型のガソリンストーブを世界で初めて発売したのは、1973年、米国のMSRです。それまで主流だったタンク一体型ガソリンストーブの燃料タンクの冷えによる火力低下や、加熱による燃料タンク破裂を防ぐためにつくられたそう。

しかし結果的に、燃料タンクの上に位置していたゴトクが分離によってより低い位置になったことで、クッカーをゴトクに載せて調理・煮炊きする際の安定感をもたらしました。ハイキング途中での平らではない場所で調理をする際や、グループ用の大きなクッカーを載せる場合にも、分離型ストーブの安定感の高さは安全へと繋がる機能として装備されたのです。

ソロ使用にも対応するコンパクトな分離型が新登場!

2019年春(4月10日工場出荷開始)、日本を代表するストーブメーカーの『SOTO』から『FUSION(フュージョン)』が発売されます。
スペックは以下の通り。

なによりうれしいのが、この『フュージョン』は経済的な燃料のカセットガスを使用した分離型ストーブということです。山で料理をきちんとしたい人に、お財布にもやさしく、調理も安心してできるストーブなんです!

カセットガスの弱点を徹底的に改善!

(左がレギュレーターストーブ ST-310、右がフュージョン。バーナーヘッドの形状がST-310は凸型、フュージョンが凹型。耐風性はもちろん凹型の方が上)

とはいえ、カセットガスを燃料とするストーブは家庭で使うカセットコンロのイメージが強く、火力の弱さが気になります。でも、安心してください!
『SOTO』では『レギュレーターストーブST-310』というカセットガスストーブを2008年から販売しています。このストーブはマイクロレギュレーターという低温下でも安定した火力を維持する機能を装備し、それまでのカセットガスストーブの弱点を克服した銘品です。

『フュージョン』も定評あるこのマイクロレギュレーターを搭載しています。さらに同社のガスストーブのフラッグシップモデル『マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310』で実績のあるものと同様の、風に強いすり鉢状のバーナーヘッドも採用。
つまり『フュージョン』は低温にも風にも強い、最強の分離型ストーブだということ!

燃料ボトル=カセットガス側で着火&火力調節が可能

カセットガスを燃料としたストーブには、『SOTO』の『レギュレーターストーブ ST-310』のようにバーナーヘッドの下部に横置きして連結して使用するタイプがあります。それらは点火装置や火力調節ツマミもバーナーヘッドの下部に備わっていました。これは軽量コンパクトなゴトク、ガス缶一体型ストーブも同様です。でも、そうしたストーブだと、着火、火力調節をする際、火が出るバーナーヘッドに手を近づけるので、ちょっと不安です。だからその不安を解消するために、火力調節ツマミを大きくしているモデルもあります。とはいえ、火元に手を近づけるのは変わらないため、根本的に不安を解消することはありません。

でも『フュージョン』は分離型です。カセットガスをバーナーヘッドの火元から離れた場所で連結。その連結パーツ部分で、点火・火力調節が可能なので不安は一切ありません。しかも火力調節ツマミは上の写真を見てもわかる通り、ワイヤー製で持ちやすいように少し捻られています。この捻れた火力調節ツマミは『SOTO』の多くのストーブに採用されている仕様で、とても扱いやすいものです。収納時には折り畳め、破損や誤開放の心配もなく、収納サイズのコンパクト化にも一役買っています。

さらに『フュージョン』はカセットガスを連結して使用する際、ガス缶を安定させる脚も装備。細かい機能ですが、あるとなしでは、使い勝手に大きな差が出ます。

湯沸かしだけではなく、

料理をしっかりしたい人のためのストーブ

シェラカップでの湯沸かしは苦手・・・

ここまで『フュージョンスゴい』という長所ばかり紹介してきましたが、苦手なこともあります。上の写真は左が『レギュレーターストーブST-310』、右が『フュージョン』です。どちらも同じシェラカップをゴトクに載せていますが、『レギュレーターストーブST-310』のゴトクの内径が47mmなのに対し、『フュージョン』のゴトク内径は実測70mm。一般的なシェラカップの底部の直径は80mmなので、『フュージョン』のゴトクにはギリギリ載りますが、少しでもズレると落下します・・・。
しかし110容量のもっとも小さなOD缶をぴったり収納できる直径90mm以上のクッカーであれば問題なくゴトクに載るので、シェラカップではなくクッカーであれば安定した状態で調理可能です。

大きめ鍋は、安定感抜群!

上の写真は、『SOTO』の『ナビゲーター クックシステム SOD-501』の大クッカーを載せたところです。大クッカーの直径は190mm、容量1800mlですが安定感抜群。カタログでは同社の重さ約5kgあるステンレス製ダッチオーブンも載せていますので、ゴトクの耐荷重性能も十分です。ソロでもグループでも、山で料理をしっかりしたいというハイカーには間違いなく選択肢のひとつになるストーブです。大鍋やフライパンを使うキャンプでも重宝するものなので、アウトドア全般を楽しみたい人に便利なストーブと言えます。

1000ml容量のクッカーに収まる収納サイズ

最後に荷物の嵩張りを抑える必要のあるハイカーにとって、気になる収納サイズの確認です。今回は、同社『ナビゲーター クックシステム SOD-501』の小クッカーに入れてみました。小クッカーのサイズは、直径160x高さ73mm 。写真右『フュージョン』は幅110×奥行75×高さ90mm、写真左の同社『レギュレーターストーブST-310』が幅140X奥行70X高さ110mm。どちらも小クッカーに入ります。しかし余裕があるのは『フュージョン』です。『ナビゲーター クックシステム SOD-501』同様の山で使えるサイズの浅型クッカーとの相性も良好でしょう。ところで写真はありませんが、後日1000ml容量、直径120×高さ100mmの深型クッカーで試したところ、『レギュレーターストーブST-310』は入りませんでしたが、『フュージョン』はジャストで入りました。ジャストなのでメーカーによっては同容量のクッカーでも収納できないものがあるかもしれませんが、フタが小クッカーになる仕様のクッカーであれば、直径110mm以上のクッカーセットなら収納できると思われます。

軽さを求めるならOD缶ストーブですが、

『フュージョン』も山で使えるスペック十分!

『フュージョン』の重量は250g。カセットガスを使用するストーブで調べた中では、最軽量です。OD缶を燃料とするストーブにはもっと軽いものがあります。ですが、OD缶の分離型ストーブでは『プリムス』の『ウルトラ・スパイダーストーブⅡ』が167g、同『エクスプレス・スパイダーストーブⅡ』が195g、『EPI』の『スプリットストーブ』が234g、『スノーピーク』の『ヤエンストーブ レギ 』がイグナイター込みで236gに次ぐ重さです。ストーブ選びは重量だけで決めるものではありませんが、分離型ストーブを手に入れようとする場合、カセットガス燃料の経済性、低温&風への強さ、軽量コンパクトさを装備した『フュージョン』は、有力な候補に挙げてよいものだと思います。

撮影:PONCHO
今回は実際に700ml程の湯を沸かしてみましたが、特に火力の不足は感じませんでした。低温下でも安定した火力に実績のあるマイクロレギュレーター搭載ストーブなので、むしろ高所に登ってテストをしてみたかったですが…。気持ちのよい場所で、美味しい料理をつくって仲間とワイワイ楽しんで、山を満喫したいなぁと思わせるストーブでした。それでは、皆さん、よい山旅を!

© 株式会社スペースキー