歴史や文化を切り絵で紹介 伊豆箱根鉄道に絵本電車

ドアなどが切り絵で装飾されている大雄山線の絵本電車

 伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)は、小田原市と南足柄市を結ぶ大雄山線車内を装飾した「絵本電車」を運行している。切り絵作家の水口千令(ちはる)さんが手掛けた作品がドアや窓に張られ、同線が開通した大正時代からの歴史を順次紹介していく。

 同線は、大雄山最乗寺(南足柄市大雄町)に向かう参詣客の利便性向上のため、1925(大正14)年10月に運行が始まった。絵本電車では、3両編成の1両目を大正・昭和初期、2両目を昭和、3両目を平成・令和と時代ごとに分けて同線のなりたちを物語形式で説明する。

 1両目で描かれているのは、1925年生まれの主人公「たろう」が祖母からの話で、敷設工事開始約40日後に関東大震災が起きたことや、開通して参詣客に喜ばれたことなどを知り、数年後に2人で同寺にお参りに行くというストーリー。車内には、水口さんによる切り絵の挿画や、同寺にちなんでてんぐやアジサイ、モミジなどをかたどった作品が張られている。

 2両目は8月ごろ、3両目は来年2月ごろに装飾される予定。同社は「たろうが大雄山線とともに歩む、続きのストーリーを楽しみにしてほしい」と話している。

 絵本電車は1日平均17本運行する。問い合わせは、同社運輸課電話055(977)1207。

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