住民有志で「声掛け隊」 独居高齢者宅を訪問 対馬南署員らも参加

高齢者宅で声掛け活動をする柴田区長(右から2人目)や森田署長(右端)ら=対馬市厳原町桟原

 長崎県対馬市厳原町の桟原(さじきばら)地区で、住民有志約10人が月に1度、独居高齢者宅を巡回し、体調悪化など困り事がないかを聞き取る「声掛け隊」の活動を続けている。きっかけは、地区内で起きた孤独死。今年4月から「高齢社会総合対策重点推進地区」に指定した対馬南署の署員らも加わり、高齢者の見守りや防犯、交通安全の呼び掛けにさらに力を入れている。

 今月の定例巡回日だった18日、隊長を務める柴田孝文区長(71)ら住民7人に加え、対馬南署からも森田明彦署長ら3人が、70~80代で独居の29世帯を訪問。柴田区長らは1軒ごとに「お変わりないですか」と声掛けをして、お年寄りと談笑。森田署長らも「おかしな電話はかかってきませんか。鍵掛けをしてくださいね」と話し、防犯や交通安全のチラシを手渡した。

 対馬南署によると、同地区は厳原町の市街地にあり、506世帯が暮らす。国や県職員官舎があるため高齢化率は約20%と市平均(36%)に比べ低いものの、65歳以上で1人暮らしの世帯は66ある(いずれも3月末現在)。

 同地区では2014年10月と翌年4月に独居高齢者の孤独死があり、いずれも死後3~8日後に発見された。悲しい出来事を繰り返すまいと16年11月、「声掛け隊」が結成。地区役員らが毎月第3土曜日に巡回している。

 この日、声掛け隊の訪問を受けた平田波子さん(81)は2カ月前に右足を手術して足がはれていることなどを伝え、「ありがたい取り組み。笑い話もできて気持ちもすっきりです」とほほ笑んだ。

 柴田区長は「活動を通じ、災害時に優先的に救助するべき人も把握できる。みんなが安全に安心して暮らせる桟原地区をつくりたい」と話した。

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