《論説》県内ではしか相次ぐ 感染の拡大に注意を

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全国的にはしか(麻疹)が流行する中、県内でも5月に入り相次いで患者が発生している。いずれも最近の海外渡航歴はなく、県内での感染拡大が懸念される事態となっており、注意が必要だ。

県内での今年のはしか患者発生数は5月20日時点で15人となっている。昨年は年間で3人、2016、17年は1人、15年はゼロで、今年の急増ぶりがうかがえる。

全国的に流行しており、5月15日時点で486人、昨年の年間患者数282人を既に大幅に上回っている。大阪府の131人、東京都の77人、三重県の54人が上位を占めるが、15日時点では本県は9番目に多い患者数となっている。

懸念されるのは県内でも流行拡大だ。1月から3月にかけて発症した県内の患者は海外渡航での感染、またはその二次感染とみられることが分かっている。その後はいずれも最近の海外渡航歴はなく、4月に2人、5月に5人の患者が確認された。うち3人は同じ職場だった。感染元が分かっておらず、日常生活の中で感染したとみられ、その広がりが心配される状況にある。

はしかは空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染する。非常に感染力が強く、広い場所であっても免疫がなければ感染する危険性が高いとされる。10日ほどの潜伏期間を経て発熱、せき、鼻水の症状が現れ、その後、高熱と発疹が生じ、肺炎や中耳炎などの合併症を起こすことが多い。

有効な治療方法はなく、ワクチンの接種が唯一の予防策となる。1回の接種だけでも95%程度の人が免疫を獲得するとされるが、2回が有効とされ、国は2006年度から2回接種を制度として導入している。それ以前は1回のみの接種で免疫が十分でなかった人、未接種者などがいたこともあり、2007年には10代、20代を中心にはしかが大流行し、若者への追加接種などを行った。これらの対策により、15年には国内土着のウイルスによる感染は排除された、と世界保健機関(WHO)から認定を受けた。

現在は海外から持ち込まれたウイルスによる感染、発症とされ、はしかにかかったことがなく、予防接種を受けてない人などが感染する危険性が高い。

国立感染症研究所によると、5月15日時点の全国の患者486人のうち、年代別では10代が18%、20代が27%、30代が26%を占めた。高齢者ははしかを発症して免疫を保持している人が多いが、若い世代ではワクチン未接種ではしかにかかっていない人や、予防接種を受けたが免疫ができなかったり、免疫が弱まっている人への感染が考えられるという。

県内で4、5月に発症した患者を見ても、20代1人、30代4人、40代2人となっている。県では定期予防接種を受けてない乳幼児やはしか未罹患(りかん)で2回予防接種を受けてない人は医師に相談し、接種を受けるよう呼び掛けている。

全国の患者の感染推定地域は、国内365人、国外71人、他は不明などとなっている。国別ではフィリピンでの感染28人、ベトナム17人、ミャンマー5人が多く、ほかはアジアを中心に1〜3人となっている。

今後、県内で感染が広がる可能性はあり、症状が疑われる場合はまず保健所に連絡し、その指示により医療機関で受診するなど、感染防止に注意を払う必要がある。