長崎県内公立学校で体罰3年ぶり増 2018年度 県教委公表 被害児童生徒74人 「素手でたたく」など教職員38人

 長崎県教委は23日、2018年度に長崎県内の公立小中高、特別支援学校で体罰を受けた児童生徒は前年度より36人多い74人だったと明らかにした。このうち3人が打撲など負傷。体罰をした教職員は前年度より6人多い38人だった。体罰をした教職員数と被害児童生徒数はいずれも3年ぶりの増加。

 同日の定例教育委員会で報告した。それによると、体罰をした教職員は小学校が最も多く14人。中学校13人、高校10人、特別支援学校1人だった。体罰の中身は「素手でたたく」22件、「たたく、蹴るなど」6件、「棒でたたく」2件、「投げる、転倒させる」1件など。

 体罰に伴う懲戒処分は1人。中学の部活動顧問が練習試合や部活動の指導中、太ももの近くを蹴ったり、頭をシューズでたたいたりして、停職1カ月の処分を受けた。

 委員からは「感情的に指導されても、不信感や恐怖しかない。教職員同士で悩みを話し合い、落ち着いて指導できる状況にしてほしい」「当該教員へ指導するだけでなく、学校全体で総合的に取り組んでほしい」などの意見が出た。

 長崎県教委は再発防止のため、体罰で処分や指導を受けた教職員向けに、怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」などの研修を義務付けている。体罰根絶に至らない実態について高校教育課の本村公秀人事管理監は「憂慮すべき問題。体罰は児童生徒の心に深刻な影響を与えてしまう」としている。

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