石木ダム用地 収用裁決 「本当の闘いはこれから」反対地権者ら抗議続行

県道付け替え道路の工事現場で座り込みを続ける地権者ら=川棚町

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者13世帯の宅地を含む土地の明け渡しを求める県収用委員会の裁決が明らかになって一夜明けた23日、反対地権者ら約30人は長崎県が進める付け替え道路工事現場での抗議の座り込みを続けた。

 反対地権者らは2017年夏から作業道に座り込むなどして抗議。裁決の報道を受け、同日は激励に訪れる支援者の姿も見られた。地権者の岩下秀男さん(71)は「裁決が出ても、こちらは何の変わりもない。行政代執行までやるつもりなのか。本当の闘いはこれから」と唇を結んだ。

 県収用委は21日、地権者の宅地を含む未買収地計約12万平方メートルの明け渡しを裁決。ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用することが可能になった。関係者によると、明け渡し期限は建物がない土地が9月19日、建物がある土地が11月18日。期限までに明け渡しに応じなければ、家屋の取り壊しや住民の排除などの行政代執行が可能になる。裁決書は5月末に地権者に発送される予定。

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