顔が似てきた 坂上忍がテレビ界の嫌われ者、みのもんたになる日|久田将義

礼儀って何かね? 画像は『スジ論 (新潮新書)』より

もはや、平成最後から令和の初め(現在)において、テレビで見ない日はない坂上忍。テレビ業界を仕切っている人物が周期的に出現するものです。

以前までは有吉弘行。しかし、彼はクレバーであり、毒舌キャラはラジオに残し、テレビでは「巧妙なMC」に徹しています。視聴者間には優れたMCとして定着しました。

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その後、坂上忍が「ブスは嫌い」キャラ・発言でブレイク。

10年くらい前。坂上忍のような存在のMCがいました。みのもんたです。まず彼は「笑っていいとも」の裏でTBS「午後は〇〇思いっきりテレビ」で一躍お茶の間の顔になります。それ以外にもバラエティなどに露出。まさに現在の坂上忍状態になっていたのです。

みのもんたは、「昼は制した」とばかりに朝の番組『みのもんたの朝ズバッ!』のMCに抜擢されます。確かにTBSはこの時点で「朝と昼はみのもんた」状態になっていました。

みものもんたは弱い者には強く、強い者には卑屈な笑顔で乗り切っていました。一般人に対して、部下のごとく叱る姿は「弱いものには強い」典型でした。

翻って、坂上忍。「バイキング」では感情をあらわにしてきていましたが、ここ一年台本通り喋っている気がします。ですからゲストとの口論(北村弁護士、小籔千豊など)はなくなりました。基本、年齢で人の上下関係を気にする彼は小藪さんのような優れた芸人の“ひとひねり効いた発言”には声を荒げるしか対処できませんでした。番組MC特権のマウンティングでした。

みのもんたは「朝のTBSを制した。昼のTBSを制した。残るは夜の報道番組だ」と調子に乗っていたようですが、残念ながらそれは実現しませんでした。当時の報道局から猛反発を食らったからです。

「絶対にそんなことはさせない。もし『噂がある』程度でも書いたら君との友情は終わりにする!」

当時、週刊誌の編集者だった僕に10年来りの知り合いであるTBSのディレクターは強い口調できっぱり言いました。

「よほど嫌われているのだな。噂があるということすら書いてはいけないのだから…」と僕はディレクターとの友情を優先させました。

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坂上忍は「坂上動物園」の視聴率低下が囁かれていますが、今のところスタッフからの、みのもんたに対しての強烈なNGがあったような事はないようです。

その辺りの処世術は上手です。しかし、以前はバンドを作ったり飲酒運転をしたり、賭け事に依存(と言ってもよいほど)していた無頼派とは思えないワイドショータレントになりました。

それは顔に出ています。「男の顔は履歴書である」という言葉があります。ん? 坂上忍の番組内で見せる少しこびたような笑顔とみのもんたの笑顔、似てきていませんか? 既に佇まいや言動はみのもんたです。後はスタッフに嫌われないようにすることでしょう。

因みに、彼は事件が起きると被疑者が同じ歳だと必ず「この人、僕と同じ歳なんですよね」と言いますが、何か強い思い入れがあるのでしょうか。

僕も同じ歳なので、気になる同年を書きだすと、敬称略で、ウィル・スミス、伊集院光、ピエール瀧、松岡修造、中山雅史、中山秀征、緒方直人、松村邦洋、さまぁ~ず、貴闘力、ジェイソン・ステイサム、ニコール・キッドマン、三又又三、玉袋筋太郎、叶美香、北斗晶あたりです。(文◎久田将義)

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