諫干訴訟 7月に最高裁弁論 「差し戻し可能性大」 「漁業権」解釈見直しか

7月の最高裁弁論決定を受け、今後の展望を説明する馬奈木弁護団長(中央)ら=福岡高裁

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が国と漁業者双方の意見を聞く弁論を7月に指定したことを受け、漁業者側弁護団が24日、福岡市内で会見。馬奈木昭雄弁護団長は「開門確定判決の効力に関する解釈の誤りが認められた」と述べ、請求異議訴訟控訴審判決の「10年免許制の共同漁業権消滅」の解釈を巡って判決が見直される可能性を指摘。「判決が破棄され、高裁に差し戻される可能性が大きい」と述べた。
 同事業を巡っては、漁業者が起こした開門請求訴訟で、福岡高裁が2010年12月、潮受け堤防閉め切りと漁業不振の因果関係を認め、国に「3年猶予後の13年12月から5年間開放」と命じた判決が確定。国は14年、確定判決に基づき開門を強制しないよう求める請求異議訴訟を起こした。昨年7月の福岡高裁判決は国の請求を認め、開門確定判決を事実上「無効」とした。漁業者側は昨年8月に上告。最高裁第2小法廷は今月22日、7月26日に弁論を開くことを決めた。
 弁護団によると、確定判決がその後の訴訟の判断を拘束する「既判力」を定めた民事訴訟法に福岡高裁判決が抵触すると判断されたとみられる。馬奈木団長は「13年12月の開門期限より前の同8月に共同漁業権が消滅した、との理由で切り捨てた判決の問題点を最高裁は見逃さなかった」と分析。堀良一事務局長は「過去にも最高裁は和解による解決が望ましいとしており、この判決が差し戻され、和解を促す可能性が大きい」と今後の展望を示した。

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