元徴用工問題~我慢強く繰り返し訴えるしかない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月24日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の元徴用工問題について解説した。

三菱重工本社を訪問した元徴用工訴訟の原告側代理人弁護士(右)ら=2019年2月15日午後、東京・丸の内 写真提供:産経新聞社

日韓外相が会談、河野外務大臣はいわゆる徴用工の仲裁委員会の設置を要請

河野太郎外務大臣は5月23日、OECD経済協力開発機構の閣僚理事会の出席のため訪問しているパリで、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談した。河野大臣は、いわゆる韓国人の元徴用工の問題について早急な対応を要請し、1965年の日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を受け入れるべきだという日本側の立場を説明した。

飯田)韓国外務省、外相側はこの仲裁について同意せずということです。

宮家)これは1965年の請求権協定での基本的な合意をひっくり返しているのです。されば仲裁委員会の設置など受け入れるはずがない、こう思えば、彼らの考えは一貫しています。一貫して間違っているのは、「では1965年の日韓合意はいったい何だったのか」ということです。韓国の政治が変わってしまったということに尽きるのでしょう。
韓国を巡る国際環境も変わった。韓国はもう、アメリカとの同盟より中国との関係を重視し始めて、バランスを取り始めた。この状況は当分続くのだろうなと思います。本当に腹が立つでしょう、日本人としてはね。私も腹が立っています。

飯田)約束したことを反故にするのだから。

2018年11月29日、ソウルの韓国最高裁に向かう三菱重工業への賠償を求めた韓国人女性ら=写真提供:時事通信

我慢強く外交で繰り返して行くしかない

宮家)昔も日本には、「何とか政権は相手にせず」と言った人がいたではないですか。気持ちはわかる。「もう文在寅なんかどうでもいい」と言いたい気持ちもわかる。わかるけれど、それをやってしまったら外交ではなくなってしまう。外交で物事を解決するという基本を忘れてしまったら、ますます物事は解決しにくくなると思います。そういう風潮が、ヨーロッパでも中東でもアメリカでも起こっています。そうなると物事は良くならないですから、やはりこの外交をもう1度見直して、我慢強く繰り返して行くしかないと思います。ただ、不愉快なことがなくなるかと言うと、なくなりません。

飯田)なくならないですか。

宮家)あの人たちがやっていることは確信犯でしょうね。偏った政権だと思うけれど、韓国の保守と言われる人たちは、朴槿恵さんを見ればわかるように、もう今は元気がない。そうなると、これが正しい状態になってしまう気がします。

「三・一独立運動」を再現(さいげん)した行進に参加した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(だいとうりょう)(中央左)=2018年3月1日、ソウル(共同) 写真提供:共同通信社

日本が強く反応すれば文在寅大統領の支持率が上がる

飯田)日本側が声高に批判をするということになると、かえって向こうの支持率が上がってしまう。

宮家)そうです。強硬派がやって来て、こちらが挑発に乗れば、向こうはますます追い風になるわけです。ですから、それに下手に乗ったら彼らの思う壺。これはなかなか難しい問題です。本当に私も腹立たしいのだけれど、それだけで外交を止めるわけにはいかないということでしょうね。

飯田)グアムで日米韓の演習をやっています。それもアメリカがアプローチしたものだということです。読売新聞にも、トランプさんが対日改善を首脳会談のところで文在寅氏に迫ったという記事がありますが、アメリカは相当これを苦々しく思っていますね。

宮家)もちろん、日本との関係をちゃんとしろと言う前に、そもそも米韓同盟は大丈夫なのかと。

飯田)そちらも。

宮家)韓国には何万人も米兵がいるわけです。勝手に北朝鮮と話して、同盟関係は一体どうなってしまったのかと言いたい気持ちはあると思うし、それこそ文在寅政権になってからアメリカが心配していることです。日本にとっても米韓同盟が揺れるということは、決していいことではないと思います。下手したら対馬海峡が防衛線になってしまうから。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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