「原監督がレスラーだったら…」 タイガーマスクが熱弁する原辰徳の“魅力”【第2弾】

タイガーマスクが原辰徳監督の魅力を語る【写真:荒川祐史】

2009年に福島で訪れた対面のチャンスに「行く~っ!」

 新日本プロレスが誇る屈指の人気レスラー、タイガーマスクは、大の原辰徳ファンとしても知られている。小学校の頃に憧れた女性の先生から影響を受け、それまでの新浦寿夫推しというシブ好みから一変、熱狂的な原ファンとなった。

 現在、新日本が誇る初夏の風物詩「ベスト・オブ・ザ・スーパー・ジュニア(スーパーJr.)」に18年連続18度目の出場を果たしているマスクマンは、今年2月には巨人の2次キャンプ地・沖縄を訪問し、原監督と旧交を温めた。そんなタイガーマスクが「Full-Count」の独占インタビューに登場! 6月5日に両国国技館で行われるスーパーJr.決勝進出を目指す男が語る、原辰徳選手、原辰徳監督、そして人間・原辰徳が持つ魅力とは……。3回シリーズの第2弾では「原監督との出会いとマスク」をお届けする。

 ◇ ◇ ◇

――原さんもプロレスがお好きだと聞きますが、実際に交流が始まったのはいつ頃からですか?

「しばらく接点がなかったんですけど、2009年だったかな。巡業で福島にいる時、ある記者さんから電話が掛かってきたんですよ。『タイガーさん、野球好きだよね?』って。『好きですよ』って言ったら、『実は今日福島で巨人戦があるんだけど、さっき原さんに、新日本プロレスも福島にいるから良かったら選手と会いませんかって話をしたら、会えるなら会いたいねって言ってたよ』って言うんですよ。

 もう大興奮。『行くよ~っ! どこ行けばいいの~っ!』って(笑)。そしたら、福島で泊まるホテルが同じ系列で近かったんです。だから『試合が終わったらホテルの方に来てくれればいいって言ってるよ』って言うから、また『行く~っ!』って(笑)。そうしたら、同じく巨人ファンの海野(宏之)レフェリーから電話掛かってきて『トラちゃん、聞いた? 試合終わったら速攻行こう!』って言うもんで、試合後に飯も食わずに、そのまま巨人の宿舎に向かったんですよ」

――偶然訪れた大チャンスですね!

「そうそう。僕らが到着して5分くらい経ったら、巨人のバスが着いたんです。選手が次々降りてくる中、僕、マスクを被って待っていたもんだから、みんな不思議な顔するんですよね。『なんでタイガーマスクがここに?』『本物か、コイツ?』みたいな顔して通り過ぎるんです(笑)。僕も少し恥ずかしくなっちゃったんですけど、そしたら最後の最後に原監督がバスから降りてきて、両手をパチンと叩きながら『聞いてるよ!』って」

2010年に巨人仕様マスクを贈呈「巨人の歴代監督でマスクを被った人は初めてだよ」

――真打ち登場です。

「『初めまして』とご挨拶してから、『今日、試合あったんだって?』なんて声を掛けていただいて。しばらく話をした後で、写真を撮ってもらって、サインもいただいて。僕、あまりサインをもらう方じゃないんですけど、海野さんがサインを欲しいって言ったら、僕の分まで書いてくださったんですよ。

 そこで一度別れたんですけど、まだ巨人の選手もいるし、マスクを脱げない。海野さんは外国人レスラーと食事に行く約束をしているっていうから、ちょっと脱ぐまで待っていてくださいよっていう話をしていたら、巨人の原監督付のマネージャーさんが降りてきたんです。そしたら『ご飯食べましたか? 監督が一緒にどうですかと言ってます』って聞かれたんで、もう速攻『行きます!』って言ってね(笑)」

――海野さんもご一緒に?

「そう。外国人選手に電話して『あ、行けなくなったからゴメン』って。海野さんに言いましたよ。『残ってて良かったでしょ』って(笑)。それから、ホテルに用意してあるケータリング用の部屋で、監督やコーチの皆さんと一緒に食事させてもらいました。もうマスクを取っていたんですけど、原監督から順番にマスクを被って写真を撮ってました(笑)」

――2010年の春キャンプでは実際にマスクのプレゼントも。

「あの時は白とオレンジで巨人仕様のマスクを作って持っていったら、思った以上に監督が喜んでくれて『よし、被るか!』って、すぐに被っちゃった。監督、グータッチまでやってくれたから、翌朝、スポーツ紙の裏一面になったんですよ。そしたら球団幹部の方に『巨人の歴代監督でマスクを被った人は初めてだよ』って言われました(笑)。マスクはハッキリした顔立ちの人が似合うんですよ。だから、原監督はすごくお似合いになりましたね」

――今年、久しぶりに見る原監督のユニホーム姿はいかがですか?

「やっぱり似合いますね~。僕、いつも監督に話すんですけど、昔のプロ野球選手って、プロレスラーもそうなんですけど、体が大きいじゃないですか。特に野球選手はお尻が大きいイメージがあって、原さんしかり、吉村(禎章)さんしかり、みんな大きいんです。打席で構えた時とか、ユニホームがピチッとして格好いいんですよね。今の選手は小粒で細身なイメージで、ユニホームもダブダブで着るから、やっぱり原さんはユニホームが似合うなって思いました」

――やはり職業柄、選手の体つきには目がいきますか?

「いきますね。今までスゲェって思ったのは、ラミレス(現DeNA監督)とディッキー・ゴンザレス。現役では坂本(勇人)選手や阿部(慎之助)選手が大きいし、亀井(善行)選手もしっかりしてたな。広島に行った長野(久義)選手もいい体格してましたよ」

会話はいつも「プロレスの話ばっかり(笑)」

――キャンプ訪問では野球の話で盛り上がりそうですね。

「いや、実はプロレスの話ばっかりなんですよ。野球の話は一切ないかも(笑)。宮崎で名物“原タワー”にも上らせてもらったんですけど、そこでもプロレスの話。『新日本、すごいな』から始まって、『この前、CS放送でタイガーの試合見たんだよ。すごいぶん殴ってたな』って身振り手振りを交えながら話すから、周りはみんなバッティングの話をしてるのかと思っているみたい。僕もたまには野球の話をしたくて『新外国人どうですか?』って聞くと『「あいつはね~、向こうでもいい成績を残しているんだよね~。日本に来たばかりだから、これからだよね~』って教えてくれたり。しかも、メキシコ人選手が来ると、必ず紹介してくれるんです」

――え!? メキシコ人選手ですか?

「そう、今回もビヤヌエバがメキシコ人で、キャンプの時に原監督が『タイガー、ちょっとちょっと、彼ね、メキシカン!』って呼ぶんです。さらにビヤヌエバに『ルチャリブレ、知ってる?』って聞くのを、通訳の方が訳してくれるという(笑)。エドガー・ゴンザレスがいた時も紹介してくれました。ゴンザレスは何度か顔を合わせるうちに、練習前に手品を見せてくれるって言い始めたんですよ。『じゃ、見てみよう』と監督も一緒に見ていたんだけど、途中で『こんなことやっているから打てないんだよ。ま、そんな選手がいるってことを覚えといてくれよ』って笑って去っていきました(笑)」

――プロレス好きの原監督がもしレスラーだったら、どんなタイプになると思いますか?

「原さんは、高田延彦さんみたいな感じかなと思いますね。人を惹きつけるし、周りを盛り上げてコントロールするのが上手い。新日本プロレスで言えば、ぶれずに自分の路線を着実に作り上げていく内藤(哲也)みたいなタイプ。俺が俺が、と前に出るのではなく、気が付いたら自然とトップに立っている。そんなタイプでしょうね。

 でも、原監督が黒いショートパンツを履く姿は想像がつかないなぁ(笑)。パンタロンも似合わないと思うんですよ。足が太くて長いから、棚橋(弘至)みたいなロングスパッツですね。監督、ちょっと日本男児なところがあるので、無地で横にラインが1本入る“シンプル・イズ・ザ・ベスト”な感じが似合いそうですね。リングシューズは黒の革じゃなくて、白のエナメルに黒のラインが入る感じで」

――いいですね! タイガーさんと原監督が並ぶ姿を見たいです。

「原監督は『俺はタイガーが引退する時は、東京ドームでリングアナウンサーをする』って仰有ってくれているんですよ(笑)。解説もしてみたいって言ってましたけど、すごくマニアックな解説をしてくださいそうですね。何しろ、野球が終わって家に帰ると、プロレスを見ることが多いそうですから。お祖母さんがプロレス好きだったそうで、子供の頃からよく見ていたって。この前、菅野(智之)投手も『僕、プロレス大好きなんです』って言ってましたから、家系かもしれませんね」

(第3弾に続く)

【ベスト・オブ・ザ・スーパー・ジュニア26 優勝決定戦】
6月5日 東京・両国国技館
17時開場 18時半開始
チケットなど詳細は新日本プロレス公式ウェブサイトで。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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