「地球の反対側で歓声と涙」イチロー氏ラストゲーム、MLB今季の試合10傑に選出

3月に行われた日本開幕シリーズを最後に現役を引退したイチロー氏【写真:Getty Images】

イチロー氏のラストゲームで菊池がデビュー「地球の反対側では歓声と涙があった」

 メジャーリーグは開幕から約2か月が経過。各球団の明暗が分かれ始めている。そんな中、MLB公式サイトは現時点での今季ベストゲームを取り上げる特集を掲載。トップ10を選出しており、マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターに就任したイチロー氏のラストゲームもランク入りしている。

 記事では「現時点で今年のトップ10の試合を挙げる。これは2週間毎に更新される。スーパースターや優れたチームの試合もあれば、特定の選手のユニークなパフォーマンスが見られた試合、接戦も含まれる。しかし、共通していることは、ファンたちに支払った金額の価値以上のものを与えた試合ということである」と選出の基準を説明。その7位に入っているのが、菊池雄星投手がメジャーデビューを飾り、イチロー氏にとっては現役最後の試合となった3月21日の東京ドームでのアスレチックス戦だ。

 この試合、菊池は4安打2失点ながら、4回2/3、91球で降板してメジャー初勝利はならず。イチロー氏も4打数無安打とヒットを打つことはできなかった。だが、イチロー氏の“ラストシーン”は感動を呼んだ。8回の守備にいったんついたイチロー氏が交代を告げられ、大歓声の中でライトからダグアウトに向かうと、待ちかまえた選手たちとベンチ前で次々とハグ。菊池や“愛弟子”のゴードンは人目もはばからず涙を流した。

 記事では「母国で迎えたマリナーズでのデビュー戦で、ユウセイ・キクチは素晴らしい投球を見せ、マリナーズはアスレチックスとの開幕シリーズで2連勝した。しかし、もちろんこの試合はイチロー・スズキの最後の試合ということで感動的なものであり、彼がフィールドを去り、地球の反対側では歓声と涙があった。イチローのヒットをもう1本見ることはできなかったかもしれないが、最後にもう1度彼をフィールドで見られたことは、我々の誰もが絶対に忘れないことであろう」と振り返っている。

東京ドームでファンに最後の別れを告げたイチロー氏

 イチロー氏は、試合終了後も待っていたファンのためにフィールドに再び現れ、場内を一周。最後の別れを告げた。その後の記者会見では、現役生活で最も印象に残っているシーンを聞かれ「この後、時間が経ったら、今日のことが真っ先に浮かぶことは間違いないと思います」と言及。決断に後悔はないかについて質問されたときも「今日のあの、球場での出来事、あんなもの見せられたら後悔などあろうはずがありません」と話していた。本人にとっても、まさに特別な時間だった。

 なお、特集の今季ベストゲーム10位までは以下の通りとなっている。

1位 5月7日 アスレチックス 2-0 レッズ
(マイク・ファイアーズがノーヒットノーランを達成した試合)

2位 3月31日 ブルワーズ 5-4 カージナルス
(クリスチャン・イエリッチがサヨナラ二塁打を放ってブルワーズが勝利した試合)

3位 5月4日 カブス 6-5 カージナルス
(テイラー・デービスが同点となるキャリア初の満塁本塁打を放ち、その後ハビアー・バエスが勝ち越しの本塁打を放ち、カブスが勝利した試合)

4位 4月21日 ドジャース 6-5 ブルワーズ
(エリック・テームズが代打で同点本塁打を放ったが、その後にコーディ・ベリンジャーが本塁打を放ってドジャースが勝利した試合)

5位 5月18日 ブレーブス 4-3 ブルワーズ
(フレディ・フリーマンがサヨナラ本塁打を放ってブレーブスが勝利した試合)

6位 4月7日 アストロズ 9-8 アスレチックス
(9回裏満塁でブレイク・トレイネンがホセ・アルトゥーベに四球を与え、アストロズがサヨナラ勝ちした試合)

7位 3月21日 マリナーズ 5-4 アスレチックス
(菊池のデビュー&イチローの引退試合)

8位 5月5日 パドレス 8-5 ドジャース
(9回裏で代打のハンター・レンフローがサヨナラ満塁本塁打を放ってパドレ
スが勝利した試合)

9位 5月8日 レッドソックス 2-1 オリオールズ
(11回裏にジャッキー・ブラッドリーJr.が本塁打強奪でサヨナラ負けを阻止し、12回にアンドリュー・ベニンテンディが本塁打を放ちレッドソックスが勝利した試合)

10位 4月2日 フィリーズ 8-2 ナショナルズ
(ブライス・ハーパーが古巣本拠地で本塁打を放った試合)(Full-Count編集部)

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