長崎の被爆者「腹の底から怒り」 米臨界前核実験 

 米国が臨界前核実験を2月に実施したと発表したのを受け、長崎の被爆者は25日「腹の底から怒りが湧く」と憤った。安倍晋三首相に対しては、同日来日したトランプ米大統領に直接抗議するよう求める声も上がった。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(79)は、核兵器禁止条約の誕生を挙げ「核をなくそうという世界の潮流に逆行している」と批判。トランプ政権が北朝鮮に非核化を迫る一方、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄したことに触れ「またアメリカ・ファースト(米国第一)が出た」と嘆き、安倍首相には「わが国のトップとして、トランプ大統領に抗議すべきだ」と訴えた。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(78)も「腹の底から怒りが湧いてくる」と語り、トランプ氏の来日については「まるで核実験を土産に持ってきたかのようだ。日本に来るなと言いたいぐらいだ」と語気を強めた。
 実験に伴い核物質封じ込め用容器の近くで少量のプルトニウム汚染が確認されたことに対しては「人間は過ちを犯す。核物質とは縁を切るしかない」と強調した。

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