元ロッテ岡田幸文が語る第2の野球人生 独立Lは「能力はあるが、対応力欠ける」

BCリーグ栃木・岡田幸文外野守備走塁コーチ【写真:荒川祐史】

ロッテから派遣されBCリーグ栃木でコーチを務めている岡田幸文氏

 ルートインBCリーグ栃木の岡田幸文外野守備走塁コーチは球界でも珍しいロッテからの派遣コーチである。作新学院、日大、全足利クラブから2008年に育成選手としてロッテに入団。開幕前に支配下登録を勝ち取ると、守備の名手として2011年、2012年と2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した。

 昨年10月8日の引退試合では59打席連続無安打の野手のプロ野球記録を樹立したが、その直後に2年、60打席ぶりの安打を放って掉尾を飾った。現役時代は妻と3人の娘が住む足利市の自宅を離れて、単身生活でプレー。昨季限りで現役を引退すると、球団の好意で栃木へと派遣され、足利市の自宅から車で通えるようになった。

 本拠地の小山市を中心に新潟、群馬、埼玉、茨城と遠征もあり、NPB時代とは大きく異なる環境に身を置く岡田氏。初打席から2501打席無本塁打、背番号にちなんで鉄壁の守備は「エリア66」と名付けられた岡田氏の第2の野球人生について聞いた。

――独立リーグのコーチを務めていますが、現役時代とギャップがあって大変では?

「裏方さんも含めて、大変お世話になってやってこられた。(栃木移籍は)球団の好意で、自分で望んだわけではないです。新潟への遠征は(選手と一緒に)バスで4時間。ナイターが終わるとそのまま帰ってきますが、栃木、埼玉は自宅から車で移動できます」

――教える立場になっての難しさは?

「理解も個人個人、選手によって(レベルに)違いがある。理解させるのが難しい。たとえば守備にしても、ある選手にはこういう伝え方とか、全員が同じ感覚では受けとってくれない。(選手個々の)能力に違いがあるので、自分でも勉強になります。正直今まで、感覚でやってきた部分があるが、それを教えるためには基本をしっかりしていかないと、こうしたらいいんじゃないかという、工夫も生まれない。みんなバッティングが好きなんですよ。それと同じくらい守備にも興味をもってもらいたい」

ドジャース入団の北方悠誠は「高い確率でメジャーに昇格できる」

――NPBと比べて、どれくらい差がありますか?

「個人個人の能力もありますが、対応力がどうしても欠けてしまう。すごく飛ばすバッター、足が速い選手、肩の強い選手と、様々な選手がいるが、それをゲームでなかなか生かせない。ちょっともったいないな、考え方ひとつ、ふたつ、みっつぐらい変えれば、ゲームで必要とされるピースになれるのにと思う」

――どこを変えていけばいいでしょう。

「みんなNPBに入ることが夢なんですよ。NPBに入りました、その中でも1軍、2軍もある。3軍がある球団もあるが、ドラフトがゴールじゃない。そこからなんで。もっと上を目指して、レギュラーをとる、タイトルをとるぐらいの意識を高くもたないと駄目じゃないですか」

――(古巣のロッテ)球団との連絡は?

「(松本球団)本部長とは連絡をとりあってます。近況報告ですね。(ロッテは)今季しぶといですね」

――栃木は今季、元ロッテでメジャー経験もある西岡剛も入って注目度も増していますね。

「おかげで熱心なファンも増えています。(西岡も)変わってきました。すごく大人になりましたね。周りへの気配りというか、色々な経験をしてきて。(NPBに)戻りたい気持ちでやっている。何とか戻ってほしい。まだまだ活躍できる選手。身体のケアもしっかりしています」

――北方投手はドジャースとマイナー契約。

「球は速いですよ。145キロのスライダーなんて、なかなか打てないですよ。あとはコントロールですね。高い確率でメジャーに昇格できるんじゃないですか。みんなで言っているんですよ。もしメジャーに昇格したら、(応援に行く自分達の)交通費、宿泊費を負担しろってね。(就労)ビザももうすぐ降りそうだし、6月頭には渡米するのではないですか。アメリカンドリームですよね」(細野能功 / Yoshinori Hosono)

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