衆参同日選観測 長崎県内の動向 立候補予定者「覚悟 決めている」

 夏の参院選に合わせ、衆参同日選はあるのか、ないのか-。安倍晋三首相が衆院解散に打って出るのではとの観測がくすぶる中、次期衆院選に立候補を予定している長崎県内の現職、新人の陣営は「同日選も想定して動いている」と選挙事務所の確保に動く一方、選挙事務を担う各選管は参院選に備えながら「投票箱は足りるのか」と同日選の行方にそわそわしている。

 「ダブル選がある前提で覚悟を決めている」。ある現職衆院議員の陣営はこう語り、本人が東京から選挙区に戻る週末は各種団体の総会回りを徹底。選挙事務所を置く場所は目星を付けているものの「短期間の契約で貸してくれるところは、なかなか少ない」とぽつり。

 別の陣営も選挙が近いと想定して準備を進めているというが、前回使った選挙事務所の敷地が使えず、場所の選定に苦戦しているという。

 一方、立候補を予定しているある新人は「統一地方選がようやく終わったところ。衆院選への準備は万端ではないが、ダブル選を見据えて準備を進めていかないといけない」と気を引き締める。別の新人は「印刷物のデザインまで考えている」と打ち明ける。

 衆参同日選は過去に1980年と1986年の2回実施された。ただ、現在の小選挙区制とは違い、当時は中選挙区制の時代。期日前投票もなかった。県選管は「当時と今とでは選挙制度も違う。あまり想像したくないが、もしダブル選となれば『前例なし』という気持ちで対策が必要」と神経をとがらせる。

 長崎市選管は「そもそも衆院は突然解散されるので準備が難しい。もし参院選と重なるならなおさら」と気をもむ。投票箱は通常は各投票所に2、3個置くが、同日選だと5個必要になる。市内約180カ所の投票所で900個以上。「絶対に足りない。業者には全国から注文が殺到するだろう。確保できるか分からない」と懸念する。

 五島市選管も「投票箱の新規購入の予算が付いていない」という。有権者が少ない地区では一つの投票箱に「比例区と選挙区」など数種類の投票用紙を入れてもらうことも想定している。開票作業は煩雑になるが、やりくりするしかないのが現状だ。

 佐世保市選管は大型連休明けから対応策を検討し始めたが、具体案はないという。「人手も不足するだろうし開票所探しも心配だ。市体育文化館が最も大きな開票所だが、ダブル選になれば広さが足りないだろう。それ以上の施設はない」と頭を悩ませる。

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