野球少年たちの未来を守るために… ポニーリーグが球数制限を導入、アプリで管理

「第43回全日本選手権大会 ポニーブロンコの部」の開会式と試合が行われた【写真:広尾晃】

中学硬式野球・ポニーリーグ、中学1年生の「第43回全日本選手権大会 ポニーブロンコの部」が開幕

 5月26日、江戸川区球場で中学生の硬式野球リーグであるポニーリーグの1年生の部門の大会「第43回全日本選手権大会 ポニーブロンコの部」の開会式と試合が行われた。

 日曜日の朝、23チームが球場に集結。選手たちが入場行進を行った。3連覇がかかる清砂ポニー、準優勝の清瀬BBCなど選手が元気よく行進。23チームの中には、単独では1年生選手が足りないために、複数のチームの合同で編成されているチームもある。

 今大会では、ポニーリーグの大会として初めて「球数制限」が導入された。前年、アメリカ本部が「ピッチスマート」の導入を決めたことによるものだが、日本の事情にかんがみ、ピッチスマートをそのまま導入するのではなく、まずは85球の球数制限でスタートする。

 今大会の「大会細則」には、(03)1日の投球数の制限を85球とする。(85球を超えたら、その打者が終了後に投手を交代する)と明記されている。

 中学硬式野球の主要5団体(ボーイズ、リトルシニア、ヤング、ポニー、フレッシュ)からなる日本中学野球議会では、中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン1試合での登板は以下のとおり制限する。

「1日7イニング以内とし、連続する2日間で10イニング以内とする」を設けているが、球数制限を実施したのはポニーリーグが初めてだ。

投球数をカウントするためスタッフを増員、アプリで球数も管理

 球数制限を導入するうえでは、主催者、両軍ベンチでは投球数をカウントするためスタッフを増員。今回のために作成された特製のスコアシートに専攻後攻のスコアを球数入りで記入していく。ベンチ裏の記録室では、攻守交替ごとに球数のアナウンスをする。

 父母などスタッフの作業は増えるが、ポニーリーグでは導入に先立って各チームへの周知徹底をおこなっており、大きな混乱は起きていない。指導者の中からも「子供を守るためには必要だ」という声が多かった。

 本部では、チームの負担を軽減するために、「EasyScore」というアプリの導入を検討してる。この大会でも実験的に導入されていた。このアプリは、タブレット端末に入力すれば、球数入りのスコアが完成するというもの。事前に設定しておけば、球数制限に達すればアラームが鳴るようにもできる。

 この日は、5月とは思えない猛暑となった。朝8時過ぎには球場の気温は28度に達した。大会主催者側は、球場に集結した選手をグラウンドに座らせて来賓の祝辞を受けた。こういうところにも「子供を守る」というポニーリーグの考え方が表れていた。

「第43回全日本選手権大会 ポニーブロンコの部」は、5月26日から6月23日まで、江戸川区球場など5つの球場で熱戦が繰り広げられる。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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