皇居清掃の先駆け 栗原「みくに奉仕団」93歳の元団員「ゆっくりされて」皇室への思い今も

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昭和、平成の天皇に関する資料を読む佐藤さん

 令和最初の国賓として27日にトランプ米大統領が訪れるなど、国際親善の舞台ともなる皇居。終戦直後の1945年12月、荒れ果てた皇居を全国に先駆けて清掃したのは宮城県栗原地域の若者でつくる「みくに奉仕団」だった。皇位継承から間もなく1カ月。メンバーとして活動した栗原市の佐藤吉勝さん(93)は、今も特別な思いで皇室を見詰め続ける。

 みくに奉仕団は、終戦後、放置されていた皇居周辺の草刈りを目的に栗原地域の男女62人が結成した。自炊用のコメなどを携え、夜行列車で駆け付けた。

 佐藤さんは近衛兵として45年9月まで皇居に詰めていた。3カ月後に団員として再び上京したが、「終戦時と全く同じ。荒れたままだった」と話す。

 当初は皇居周辺の草刈りを予定していたが、当時の宮内省から皇居内のがれき撤去を依頼された。作業は3日間に及び、昭和天皇が直接見守ったという。佐藤さんは「近衛兵の時は、お目に掛かることすらなかった。夢のような気分だった」と振り返る。

 2001年の宮城国体では、上皇ご夫妻が築館町(現栗原市)を訪問された。町議だった佐藤さんは町の庁舎で出迎えた。

 当時の町長千葉徳穂さん(故人)も奉仕団の団員だった。徳穂さんの長男で栗原市長の健司さん(62)は「開口一番、みくに奉仕団へのお礼の言葉を頂いたと父が話していた」と語る。

 大正、昭和、平成、令和の四つの時代を生きる佐藤さん。奉仕団の仲間の多くは鬼籍に入った。

 佐藤さんは、上皇ご夫妻が東日本大震災などの被災地に駆け付け、住民らを励ます姿に感銘を受けた。退位後、上皇さまの表情が明るくなったと感じており、「高齢での公務で相当苦労されたのではないか。これからは、ゆっくりお休みいただきたい」と語った。

[みくに奉仕団]栗原地域の20~30代が加わった皇居の清掃奉仕団体。同様の活動が全国に広がった。宮内庁によると2018年12月末現在、延べ約3万1500団体、約128万人が参加している。栗原市築館の薬師山に第1回奉仕団の団員名を刻んだ記念碑がある。