「人生の可能性奪われたのに、なぜ?」 強制不妊判決に涙

©株式会社京都新聞社

報告集会の後、原告の飯塚さん(手前左)を囲む利光さん(左端)や横川さん(右端)=仙台市・仙台弁護士会館

 優生保護法下での強制不妊手術を巡り、法や手術の違憲性を初めて認める一方、原告の請求を棄却した28日の仙台地裁判決。原告2人に寄り添ってきた京都ゆかりの支援者らは、4月成立した被害者への一時金支給法から一歩踏み込む内容を一定評価しつつも、「人権回復に結びつかない」「理不尽だ」と司法への失望をあらわにした。

 支援者団体「優生手術被害者とともに歩むみやぎの会」の横川ひかりさん(34)=仙台市=は、60代の佐藤由美さん、70代の飯塚淳子さん=いずれも仮名=との連帯を表すピンクの上着姿で判決を傍聴した。「原告の請求を棄却する」という裁判官の冒頭の発言に法廷はざわつき、横川さんも思わず「えっ、なんで?」と驚いた。

 横川さんは京都市北区在住時から強制不妊手術問題を考える勉強会を催し、2017年の仙台転居後に2人と出会った。日常的に襲う腹痛、手術が理由で縁談や結婚生活が破談した悔しさ、「当時は適法」として謝罪を拒み続ける国への憎しみ。「被害者は体を傷つけられただけでなく、その後の人生の幅広い可能性も奪われてしまった」。各地で原告の証言を聞く集会を開き、被害の実態を伝えてきた。

 「飯塚さんは人生が優生保護で終わっちゃうと嘆く。障害者はマイノリティーで、同法下で不当に扱われてきたのに、当たり前の人権回復になぜ時間がかかるのか」と涙を浮かべた。

 判決後、原告弁護団が開いた報告集会。立命館大生存学研究センターの利光恵子客員研究員(65)は、飯塚さんの「国の責任が認められないのは納得できない。国は謝罪して」という悲痛な叫びにうなずいた。

 一時金支給法には違憲性への言及がないことから「憲法違反の誤った法律下で行われた人権侵害だと判決が認めたことは意味がある」とする一方、「国に謝罪を求めなかったのは残念」。リプロダクティブ権(性と生殖に関する健康・権利)の議論が蓄積されていないことを請求棄却理由の一つとした判決については「1996年の法改正時、国会でリプロダクティブ権の観点から『適切な措置を講じること』との付帯決議が出ている。裁判官がそこを見誤らなければ結論は違ったのではないか」とみる。

 聴覚障害者も同法下で断種を強いられた事実が判明しており、左京区から駆けつけた中途失聴者の永井哲さん(64)は「差別のない世の中になるように傍聴を続けたい」と話していた。