被爆体験者訴訟 長崎市控訴せず 原告遺族、複雑な思い 生きているうちに認めてほしかった

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 国が指定する地域の外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」の集団訴訟の原告の一人だった上戸滿行さん=2011年に81歳で死去=について、長崎市は入市被爆を認めた長崎地裁の差し戻し審判決の控訴期限となった28日、控訴を見送った。上戸さんの長女(61)が取材に応じ、「父が被爆者と認められたうれしさはあるが、生きている間に主張を認めてほしかった」と複雑な心境を語った。

 長崎市は差し戻し審の判決を受け、控訴を断念する考えを示していた。判決確定に伴い、今後、当時の診断書などを精査した上で2008年7月の申請時から死亡するまでの健康管理手当、葬祭料を遺族に支給する方針。

 上戸さんの長女は「爆心地近くに入ったという父の主張は一貫していて、市がこれまで認めなかったことは残念。市は調査や確認だけでなく、被爆を体験した人の話をもっと受け入れ、向き合ってほしい」と求めた。