【登戸児童殺傷】容疑者宅に包丁空き箱 電車で移動、徒歩で現場へ

容疑者の自宅へ家宅捜査に入る捜査員=29日午前10時ごろ、川崎市麻生区(画像を補正しています)

 川崎市多摩区登戸新町の路上で28日、スクールバスを待っていた6~12歳の児童らが襲われ19人が殺傷された事件で、神奈川県警多摩署捜査本部は29日、自殺した職業不詳岩﨑隆一容疑者(51)=同市麻生区多摩美1丁目=の自宅を殺人容疑で家宅捜索した。包丁の空き箱やノート1冊など数十点を押収。今後、こうした関係資料の解析を行い、児童らを殺傷した動機の解明などを進める。

 家宅捜索では、同容疑者の自室の押し入れから包丁の空き箱4箱を押収。現場でも4本の包丁が見つかっており、関連を調べる。ノートも自室で見つかり、記載内容を精査する。

 また、同容疑者が28日早朝、自宅の最寄り駅から電車に乗り、現場に移動したとみられることも捜査本部への取材で分かった。

 事件は28日午前7時40分ごろ、同市多摩区の登戸駅近くの路上で発生。バスを待っていた私立カリタス小学校(同区)6年の女児(11)=東京都多摩市=と、保護者の外務省職員の男性(39)=同世田谷区=が包丁で刺されるなどして死亡した。司法解剖の結果、女児の死因は失血、男性は出血性ショックと判明した。ほかに、保護者の女性(45)と女児2人が重傷、児童14人がけがを負った。

 捜査本部によると、防犯カメラ映像の解析などから、同容疑者が28日早朝、自宅最寄りの小田急線読売ランド前駅から3駅離れた登戸駅まで電車で移動したことが分かった。その後、時間を置かずに徒歩で現場に向かったとみられる。

 現場では、作業用手袋をはめた両手にそれぞれ刃渡り約30センチの包丁を持ち、最初に背後から男性を刺したとみられる。さらに保護者の女性を襲い、女児、列を作ってバスを待っていた児童の順に切りつけるなどし、最後は自身の首付近を刺して自殺を図った。男性を襲撃してから自殺を図るまで十数秒だったことが判明しており、捜査本部はおよそ70メートルの距離を走るようにして19人を次々に襲ったとみている。同容疑者のズボンのポケットには現金約10万円が入っていたという。

 捜査本部によると、現場近くにあった同容疑者のものとみられるリュックサックの中からも、シャツに包まれた刃渡り約25センチと同約20センチの包丁2本が見つかった。捜査本部や川崎市によると、19人の負傷部位は首や肩など上半身に集中していた。捜査本部は、同容疑者が強い殺意を持ち、あらかじめ複数の凶器を準備した上で現場に向かったとみて殺人容疑などで捜査。容疑が固まり次第、容疑者死亡のまま書類送検する方針だ。

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