観光客の動きを解析・分散化 鎌倉市、観光公害軽減へ協定

鎌倉市役所本庁舎

 観光客の急増に伴い、地域の生活環境が悪化する「観光公害」(オーバーツーリズム)を軽減するため、神奈川県鎌倉市が民間企業3社と協定を結んだ。スマートフォンのアプリなどを活用して観光客の市内での動態を調査・解析し、分散化につなげる。

 市と協定を結んだのは、ウェブマーケティングを手掛けるデジタルガレージ、ビッグデータを解析するunerry、出版会社の昭文社。

 市内では、場所では鶴岡八幡宮や小町通りなど、時期ではアジサイや紅葉が見頃を迎える6月や秋に、特に観光客が集中する傾向にあり、電車や路線バスが混雑するなど、地域住民の生活にも影響を与えている。

 こうした現状を改善するため、市と3社が連携する。昭文社が旅行ガイドブックの読者向けに提供するアプリ「まっぷるリンク」の利用者を対象に、動態を調査。unerryが飲料用自動販売機内に設置したビーコン(電波受発信器)で、観光客が通った経路などの情報を収集し、デジタルガレージがそれらを分析する。そのデータを基に、市が観光客を分散できる周遊方法などを提案する。

 市観光課は「住民も観光客も快適に鎌倉で過ごしてもらえるよう、情報を活用していきたい」としている。

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