川崎市多摩区登戸新町の路上で28日、児童ら19人が殺傷された事件で、市は29日、襲撃したとされる岩崎隆一容疑者(51)=同市麻生区、直後に自殺=と同居家族に関する相談が事件前に市精神保健福祉センターに寄せられていたことを明らかにした。
相談は親族からで、同容疑者について、「長期間働いておらず、引きこもり傾向にあった」と話したという。
センターによると、相談は2017年11月~19年1月の計14回で、職員が電話や面談で応対した。親族は、同容疑者と同居する80代のおじとおばの介護について相談。同容疑者が家の中に閉じこもりがちで、おじおばとも会話がほとんどなかったことから、介護サービスで第三者が自宅に入ることによる影響を心配していたという。
「本人を刺激したくない」というおじおばらの要請を受け、職員との面談は自宅以外で実施。18年6月には訪問介護サービスを始めたが、同容疑者の様子が不安定になることはなかったという。
センターは18年11月、おじおばに対し、同容疑者と手紙を通じたやりとりについても提案。2人は今年1月、同容疑者の部屋の前に手紙を置いたが、数日後に同容疑者は「食事や洗濯も自分でやっているのに引きこもりとは何だ」との趣旨の言葉をおばに告げた。
2人は「本人なりに考えて関わりを絶っていることが分かったので、しばらく様子をみたい」との考えをセンター側に伝え、センターも意向を尊重することを決めた。