島原市議選情勢 〝空白地帯〟集票合戦に熱 混戦模様

個人演説会で候補者と拳を突き上げる支援者ら=島原市内

 6月2日投開票の長崎県島原市議選は、定数19を巡って21人(現職18、新人3)が激しい選挙戦を繰り広げている。候補者数は前回と同じだが、地盤とする現職が少ない地区での集票合戦が熱を帯びるなど、混戦模様だ。一方で政策論争は低調で、有権者からは冷ややかな声も聞かれる。

 「安中の皆さま、ご支援よろしくお願いします」-。南島原市に近い安中地区は連日、ほかの地区から乗り込んできた選挙カーの声が響き渡る。

 候補者を地区別に見ると、島原市内最大の有権者数約8700人を抱える有明地区は5人、2番目に多い森岳地区は6人がそれぞれ立候補し、地盤が競合。こうした中、多くの候補者の“草刈り場”と化しているのが安中地区だ。有権者数は5千人を超えるが、同地区山側を地盤とする現職1人だけが立候補。ある陣営関係者は「安中の海側は、地縁・血縁が比較的少ない“地盤空白地帯”」と熱視線を送り、浮動票の取り込みに躍起だ。

 一方、白山地区では新人3人を含む4人が名乗りを上げた。ある新人は会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックなどを活用し、「18歳選挙権」が導入されて初めての同市議選で若い世代への浸透を図る。「新人がどれだけ浮動票を取るのか予想できない」。ある現職陣営は新人の動きに警戒し、票の読みづらさを口にする。

 前回、最下位当選者の得票数は749票。今回は当選ラインが下がり、得票差も縮まるのではないかとの見方が大方の予想だ。

 一方、熱戦とは裏腹に、若者の転出や高齢化、産業振興など山積する市の課題に対し、候補者が訴える内容に大差はみられない。選挙戦は名前の連呼が中心で、具体的主張は乏しいとの指摘が有権者から上がり、自営業男性(45)は「各候補者の主張は言い回しが違うだけ。何をやっていこうとしているのか、明確には分からない」と冷ややか。別の自営業男性(80)は「工場など若い就労者が増える製造業などを誘致してほしい。具体的な案が聞きたい」と注文する。

 期日前投票初日となった27日は206人が一票を投じ、前回の初日を73人上回る滑り出し。前回、過去最低だった投票率(66.54%)の行方も注目される。

 有権者数は3万7990人(男1万7420、女2万570)=25日現在、市選管調べ=。

 島原市議選立候補者 
(定数19-21、届け出順)
林田  勉 61 自民現(3)
永尾 邦忠 66 公明現(3)
松坂 昌應 65 無 現(4)
松井 大助 77 無 現(9)
森園浩太郎 43 無 新
永田 光臣 68 自民現(3)
磯野  浩 82 無 新
馬場 勝郎 73 自民現(9)
種村 繁徳 68 自民現(4)
本多 松弘 48 無 新
上田 義定 47 自民現(2)
本多 秀樹 72 自民現(3)
本田 みえ 58 無 現(1)
楠  晋典 43 無 現(1)
本田 順也 46 自民現(4)
馬渡 光春 66 自民現(4)
北浦 守金 69 自民現(6)
島田 一徳 71 共産現(4)
草野 勝義 60 無 現(2)
生田 忠照 59 自民現(2)
浜崎 清志 65 自民現(4)

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