平和教育の在り方探る 長崎大でシンポジウム ハワイと長崎、活動事例を紹介

ハワイと長崎で取り組まれている平和学習が報告されたシンポジウム=長崎大文教キャンパス

 米ハワイで平和学習を企画する担当者を招き、これからの平和教育を考えるシンポジウム(長崎大多文化社会学部主催)が28日夜、長崎県長崎市文教町の長崎大であった。「世界中に平和の記念碑があるのに、なぜ世界は平和になっていないのか」という問い掛けの下、ハワイと長崎から計8人が活動を報告し、世界の人が考えや立場の違いを乗り越えていくための平和教育を探った。

 ハワイと長崎は、旧日本軍の真珠湾攻撃、米国の原爆投下でそれぞれ被災した歴史があり、独自の平和学習が発展している。シンポジウムは平和教育に関する若者の活動に焦点を当てることで長崎とハワイの連携を深めようと企画し、約250人が参加した。

 講師のうち、真珠湾攻撃の歴史を紹介する米国立公園局の施設の担当者は「(資料館などの施設には)単に出来事を伝えるだけでなく、見学者が何かを感じ、考えを共有する仕組みが必要」と指摘。「共有」のための仕組みとして世界各地の若者をインターネットで結び、施設の疑似見学をしながら意見を交わす「ズーム」という活動を紹介し、「国や立場が違えば、平和の概念も異なることを肌で感じる機会になっている」と説明した。

 また、同施設と連携して学習プログラム運営している国際教育機関「HIKI」の鶴見剛代表(46)は、「ズーム」を参考に長崎とハワイの学生をインターネットで結ぶ取り組みに意欲を示し、「長崎の高校生や大学生にぜひ参加してもらいたい」と呼び掛けた。

 長崎からは、元長崎原爆資料館館長で作家の青来有一さんや高校生1万人署名活動のメンバーのほか、ナガサキ・ユース代表団で、ハワイのインターンシップも経験した永江早紀さん(21)=長崎大4年=らがそれぞれの取り組みを紹介した。

 シンポジウム後、永江さんは「平和の形は国によって大きく違い、グローバルな社会では、どこかでぶつかると感じた。個人レベルでもいろいろな人の考えも知っていくことが大切と思った」と話した。

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